89.お誕生日おめでとう ページ43
ついに来た、1月11日。
俺とAの誕生日。
……とは言っても、Aはこれまであまり誕生日を祝われたことがない。
形式的に「おめでとう」と言われてはいたが、俺のようにプレゼントをもらうことはなかったと記憶している。
でも、これからは違う。
俺が心から「おめでとう、生まれてきてくれてありがとう」って言うし、プレゼントも贈るし、他の奴らからもそうされるだろう。
きっと驚くだろうな。
――姉さんと夏兄のことも。
二人が来るのは、お昼を食べ終わった後。
幸い、今日は日曜日で授業もない。
二人も予定を合わせやすく、まさに絶好の機会だった。
俺はAを起こし、寝ぼけ眼を擦るAに言った。
「A、誕生日おめでとう」
『たんじょーび……たんじょうび？』
「ああ、今日だぞ。6歳になったんだぞ」
『あれ、ぜんぜんきづいてなかった……えへへ、わたし6さいになったんだね！』
一度ぽかんとしたが、すぐににこっと笑って俺に抱きつくA。
嬉しそうな表情に、俺も微笑んで言った。
「A、生まれてきてくれてありがとう。また俺に会いにきてくれてありがとう。これからも一緒にいような」
『えへへ……しょうともおたんじょうびおめでとう！ いつもありがとう！ だいすき！ ずーっといっしょだよ！』
「俺も大好きだ」
お互いに力いっぱい抱きしめ(俺は力を入れすぎないように注意しながら)、目を合わせて笑った。
俺は押入れから袋を取り出し、Aに渡した。
Aが首を傾げながら包みを開けると、中には大きな抱き枕が。
「接触冷感の抱き枕だ。ちょっと早すぎかもしれねぇが、これから気温が上がってく中で寝苦しくなるかもしれねぇからな」
『せっしょくれーかん……？』
「触ったらひんやりすることだ。触ってみろよ」
『わっ、ほんとだ……！ ……でも、うむむ……』
一度目をキラキラに輝かせたAだったが、すぐに難しい顔になった。
俺は首を傾げる。
Aは少しもじもじとしながら言った。
『あのね……わたしね、じつは……ねてるとき、たまにね、たまにだよ？ たまに、しょうとにぎゅーしてひんやりしてるの……だからね、これあったらもうしちゃだめかなっておもったの』
きゅーん。
そんな音が鳴った気がして、俺はAを抱きしめた。
「いつでもやってくれていいぞ。むしろこれは封印するか」
『えっ、せっかくくれたのに！？』
「だからぎゅーはやめちゃだめだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あや(プロフ) - めいめいさん» めちゃくちゃ健康的で何よりです笑 これから結構怒涛の展開になる予定なので、ぜひぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです！！ (1月10日 22時) (
レス) @page26 id: 021ff3b1be (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - あ''ーマジ泣く これからの展開が楽しみ過ぎて夜しか眠れん (1月10日 22時) (レス) @page26 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - あやさん» 出来てよかったです！ (12月8日 17時) (レス) id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 冬美さん» 出来ました〜！！ 本当にありがとうございます…！！😭✨ (12月8日 14時) (レス) id: 6508c9a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - たしか*←だったと思います！ (12月8日 10時) (レス) @page14 id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月木あや | 作成日時：2023年11月7日 20時
