73.救われてしまった ページ27
「11月末、突然Aが雄英に現れたんだ。あの日の――10年前の、あの日のままで」
「ま、まさか……10年経ってるんだぞ？ あのときのままなんてそんなわけ……ッ！」
「でも本当にあのときのままだったんだ！ 背も服も、記憶も、喋り方も……火傷もだ！」
二人がハッと息を呑んだ。
俺がAじゃなくお母さんを守ることを選んでしまったあの日、意識を取り戻したお母さんは親父にすべてを話した。
そして、「いつ焦凍や他の子にも手を出してしまうか分からない。だから、私を入院させてください」と生気のない表情で頼んだのだ。
――だから本当は、どちらも守れてなんか無かった。
「Aは、自分に酷い仕打ちをする俺や他のみんなも、一度だって恨んでなんかいなかった！ 今でもあんなに……出来立ての、大好物のホットケーキが食べられないくらい熱さや炎にトラウマを持ってるのに……」
「……A、ホットケーキ好きだったのか……」
「一度だって恨みや怒りを口にしたことはねぇ。むしろ――俺に『だいすきだよ』って言ったんだ……」
本当に、本当に不甲斐ない。
俺が泣く資格なんて一つもない。
あの日のことを、昔のことを本当に許される日は絶対に来ない。
なのに、Aはただ『だいすき』と俺に言った。
その言葉に、俺は――――救われてしまった。
「ずっと俺は、Aに守られてた。いつも親父の癇癪はAが自ら引き受けていた。俺は、それに気づこうともしなかったのに……！」
溢れ出して、止まらない。
胸が苦しくて苦しくて。
緑谷や爆豪がいるのも忘れ、痛いくらいに髪を掴んだ。
――Aの痛みは、こんなもんじゃねぇ。
「……だから、今度こそは俺が守るって約束した。幸せにするって決めたんだ」
「……」
「でも、俺は今も守れてなんかねぇ。何回も泣かせて、今だって寂しい思いをさせてて……どうしたらいいか分かんねぇ……！」
「……焦凍」
姉さんは、優しく俺の頭を撫でた。
お母さんと似た、洗い物でたくさんヒビ割れた温かい手。
ふと、姉さんとお母さんの姿が重なった。
「焦凍、頑張ったね」
ただ、それだけ。
たった一言だけ。
だが、俺の胸にすとんと落ちた。
「そんなの、言えないよね。Aを傷つけた私たち家族とAを近づけることがどれだけ怖いか、すごく分かるよ。一人でAを守ってくれてありがとう。辛かったね」
姉さんの顔は、涙でぐちゃぐちゃになっていた。
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あや(プロフ) - めいめいさん» めちゃくちゃ健康的で何よりです笑 これから結構怒涛の展開になる予定なので、ぜひぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです！！ (1月10日 22時) (
レス) @page26 id: 021ff3b1be (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - あ''ーマジ泣く これからの展開が楽しみ過ぎて夜しか眠れん (1月10日 22時) (レス) @page26 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - あやさん» 出来てよかったです！ (12月8日 17時) (レス) id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 冬美さん» 出来ました〜！！ 本当にありがとうございます…！！😭✨ (12月8日 14時) (レス) id: 6508c9a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - たしか*←だったと思います！ (12月8日 10時) (レス) @page14 id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年11月7日 20時
