69.雪 ページ23
Aは寝ぼけ眼を擦りながら窓に近づく。
雪を視認してパッとその顔が輝いた。
『ゆき！』
その瞬間、俺や先生たちが止める隙も与えずAは玄関を飛び出した。
心底嬉しそうに空を見上げ、手や頬に溶けていく雪を愛おしそうに見つめる。
「ちょ、Aちゃん、上着着て！」
慌ててミッドナイトがコートを持ってAに駆け寄る。
その様子を、俺はただ傍観していた。
雪の中満面の笑みで舞うようにはしゃぐAは、雪の精のようだった。
それこそ、彼女の手や頬に落ちた雪のように、いつか溶けていくかのような。
夢のようだった。
この1ヶ月と少し、俺はずっと夢を見ているようだった。
こんな都合のいいことがあってたまるかと、そう思ってしまうくらい幸せだった。
タイムリミットがあるとわかっていながら、いつまでもこうしていたいと願い続けていた。
「――綺麗だな」
ああ、本当に綺麗だ。
誰かが言っていた。
美しいものは、限りがあるから美しいのだと。
遠くにあるから綺麗なのだと。
その意味を、俺はどこか分かってしまっている。
幸せだと叫ぶように個性を使って雪と舞うAを見ながら、俺は無性に泣き叫びたくなった。
こいつは俺の妹だと。
誰にも奪わせないと。
無駄だと、分かっていても。
「……A、風邪ひくからそろそろ――」
『しょうと！』
これは、果たして本当に俺とAへの祝福なのだろうか。
むしろ――
『わたし、すっごくしあわせ！』
――俺への罰、そう思えて仕方がない。
いつかくる別れを気づいていながら、手放したくないと思わせるなんて。
日に日に大きくなるAの存在に、俺がどれだけ救われているか。
もうAがいない世界なんて考えられないというのに。
俺は弱々しく息を吐き出し、冷えたAの小さな身体を抱きしめた。
『しょうと？』
「……早く戻ろう。身体冷えてるぞ」
Aはもう一度空を見上げてから頷いた。
別れがくると決まったわけじゃない。
ただの可能性の話であり、そんな気がする、ただそれだけのこと。
俺はきっとそのとき、この手を離してはやれないだろう。
Aと一緒にいるために、なんでもするだろう。
それが称賛されないやり方だったとしても、友人たちから非難されても。
もうとっくに、その覚悟は出来ている。
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あや(プロフ) - めいめいさん» めちゃくちゃ健康的で何よりです笑 これから結構怒涛の展開になる予定なので、ぜひぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです！！ (1月10日 22時) (
レス) @page26 id: 021ff3b1be (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - あ''ーマジ泣く これからの展開が楽しみ過ぎて夜しか眠れん (1月10日 22時) (レス) @page26 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - あやさん» 出来てよかったです！ (12月8日 17時) (レス) id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 冬美さん» 出来ました〜！！ 本当にありがとうございます…！！😭✨ (12月8日 14時) (レス) id: 6508c9a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - たしか*←だったと思います！ (12月8日 10時) (レス) @page14 id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年11月7日 20時
