64.大晦日 ページ18
焦凍Side
大晦日、寮内はガランとしていた。
クラスメイトたちは、プロヒーローの護衛付きで帰省している。
俺はAもいるから、戻ろうとははなから考えてはいなかった。
相澤先生が姉さんにも上手く説明してくれて、俺とAで寮を貸し切り状態になっていた。
『……しずかだねぇ』
「そうだな……」
Aはソファにぐでーっと寝転がり、授業の復習をする俺をぼーっと見ている。
普段大勢に囲まれていて騒がしい環境にいたから、今は誰もいなくて寂しいんだろう。
本当は俺も構ってやりたいところだが、学業を疎かにしてはAと暮らすときに約束したことを破ってしまう。
可哀想だが、俺が復習を終えるまでは一人で遊んでもらうしかないのだ。
だが渡していた本は読み終わったらしく、その次に渡したおえかき帳も飽きてしまったようだった。
本を読んでいるのを見ていて気づいたが、Aは文章を読むのが恐ろしく早い。
ふりがなが振られた約100ページの児童書を、ものの十数分で読み終えてしまったのだ。
さすがにこれには驚いた。
文章読むの好きなのか、と聞いたら、Aは『うん、おはなしよむのすき』と頷いていた。
誕生日には本を贈ってやろうか。
なんてことを考えていたのが1時間前。
Aはときどき窓に近づいて冷たい空気に触れたり、個性で小さな雪だるまを作ったりとしている。
どうにかして暇を潰してやらないと……
ノートと教科書から目を離し、どうしようかと悩んでいたそのときだった。
「Hey Hey boy and girl！」
「邪魔するぞ」
「Aちゃん〜！ お姉さんが来たわよ〜！」
ぞろぞろと先生たちが入ってきた。
相澤先生、プレゼント・マイク、ミッドナイト、ブラドキング、13号先生、セメントス、エクトプラズム、スナイプ。
みんな手にビニール袋を持っていて、いろんな食べ物が入っていた。
「急に来て悪いな、轟」
「いえ……どうかしたんですか」
「いや、仕事が先に終わったメンバーで教師寮で飲むつもりだったんだが――」
「Aちゃん〜！ 風邪ひいてなぁい？」
「……あの通り、ミッドナイトがAちゃんに会いたがってな」
少しうんざりしたようにミッドナイトを見る相澤先生。
ミッドナイトは、未だびっくりしているAをだっこしている。
他の先生たちも「突然ごめんね」「大晦日にも復習してるの偉いな」などと言いながら靴を脱いでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 283人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あや(プロフ) - めいめいさん» めちゃくちゃ健康的で何よりです笑 これから結構怒涛の展開になる予定なので、ぜひぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです！！ (1月10日 22時) (
レス) @page26 id: 021ff3b1be (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - あ''ーマジ泣く これからの展開が楽しみ過ぎて夜しか眠れん (1月10日 22時) (レス) @page26 id: 19d12ec8ba (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - あやさん» 出来てよかったです！ (12月8日 17時) (レス) id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 冬美さん» 出来ました〜！！ 本当にありがとうございます…！！😭✨ (12月8日 14時) (レス) id: 6508c9a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
冬美(プロフ) - たしか*←だったと思います！ (12月8日 10時) (レス) @page14 id: cc8a597751 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月木あや | 作成日時：2023年11月7日 20時
