大掃除 1 ページ6
焦凍Side
「では、Aちゃん準備はいい？」
『うん！』
「よし！ じゃあこれより、A組寮の大掃除を始めます！！」
「「「『いえーい！！』」」」
芦戸の高らかな宣言に、共同スペースに集まったA組はわっと盛り上がった。
事の発端は3日前。
寮生活になってからももう長く経ち、共同スペースにはよく分からないものが散乱していることが増え始めた。
「むむ！？ この教科書は誰のだ！ 名前が書かれていないぞ！」
「あ、もしかしたら俺かも！ 昨日それ無くなってたんだよね〜」
「上鳴くん！ 自分の持ち物にはちゃんと名前を書いておくように！ しかも教科書なら尚更だ！」
「はーい」
「むむ！？ なんだこの本は！？」
「あ、それオイラの」
「うわ……峰田こんなの持ってきてるの……？ Aちゃんの教育に悪い。あっち行こ」
「なんだと！？ この素晴らしさが分からないなんて人生7割損してるようなもんだぞ……！？」
『じんせいななわりそんしてる？』
「はいAちゃんあっち行こっか」
「待てよ！ オイラは未来の希望のために早い段階からの英才教育をだな……！」
「峰田、轟の顔、顔見ろ」
「ひぃっ！？」
……つまり、片付けが十分に出来ていなくなってきた。
そこで飯田が「次の週末、全員で寮の大掃除をするぞ！」と言い出したのだ。
最初は「俺の部屋綺麗だし！」などと大ブーイングしている奴らもいた。
しかし、Aの『ビリビリのおにいさんのおへやきれいなの？ いってみたい！』という一言で空気が変わった。
そして【Aちゃんに見せても恥ずかしくない部屋】という目標まで決めて大掃除の実施が決まった。
ということで、全員の予定が空いている今日になったのだ。
今は朝の9時。
全員朝飯を食べ終わってからスタートした。
最初は全員自分の部屋の掃除及び断捨離。
俺とAも部屋に戻ってきた。
「じゃあA、二人で頑張ろうな」
『うんっ！ わたしなにやったらいいかな？』
「そうだな……じゃあ、自分のおもちゃとか洋服で、いるものといらないものを分けていってくれ」
『はーい！』
まずは全部出してから判断していくようだ。
『じゆうちょういる。このおもちゃなんだっけ……？あ、かえるのおねえさんがくれたやつだ。どうしようかなぁ……』
そんなAを横目に、俺も作業に入った。
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
