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なんとなく状況を把握した紅丸は、Aを連れて居間に入った。
そこには、よく似た双子が待っていた。
「「若、そのちっせぇガキ誰だ！？」」
『！？』
かわいい見た目に似合わずものすごい口調の双子に、Aはギョッとして少し距離を取った。
紅丸は苦笑しながら答える。
「こいつはA。さっきの火災で見つけた子どもだ。火が苦手だから、お前ら変にちょっかいかけんなよ」
「弱虫か！」
「弱虫だな！」
「おい」
目がぐるぐるするほど混乱しているAに、紺炉は言った。
「あの二人はヒナタとヒカゲだ。口は悪いが、悪い奴らじゃねぇよ」
『そ、そうなの……？』
「若の口調が移っちまってな……結構酷いこと言われるかもしれねぇけど、許してやってくれ」
『え、え、えっと……うん……』
ビクビクしながら言われた座布団に座ると、ヒカゲとヒナタはじーっとAを見てくる。
――す、すっごいみられてる……
Aは冷や汗ダラダラで二人を見ないようにするので精一杯だった。
「……ヒナタ、ヒカゲ、そんなに見てやるんじゃねえ」
「だってよぉ若、こいつ今にも死にそうなくらいひょろっちいぜ？」
「だってよぉ若、こいつ今にも死にそうなくらい真っ青だぜ？」
「それはお前らがずっと見てるからだ馬鹿」
「「馬鹿じゃねぇ！ 潰すぞ紺炉！」」
紺炉に飛びつき着物の袖でペシペシ殴りまくるヒカゲとヒナタ。
Aはこれまで出会ったことのないタイプの二人に呆気にとられていた。
一切動じない紺炉に飽きたヒカゲとヒナタは、紺炉から離れてAに近づいた。
「なあなあチビ！ お菓子持ってねぇか！」
「なあなあチビ！ いいお菓子持ってねぇか！」
『お、おかし……？ え、えっと、もってない……』
「「愚図だな！」」
『えっ！？』
「ヒカ、ヒナ、そろそろやめてやれよ」
「「ヒカとヒナに指図すんじゃねぇ！！」」
また紺炉に飛びついた二人。
Aは終始ポカンとしたままつぶやいた。
『かつきおにいさんにちょっとにてる……かも？』
Aの頭の中で、爆豪が「一緒にすんじゃねぇ！！」と怒鳴った。
その後もヒカゲとヒナタの性格に散々振り回され、Aはぐったりとしていた。
「だ、大丈夫か」
『だ、だいじょうぶ……』
「悪いな……」
『でも、わたしふたりのことすきだよ』
えへへ、と笑って紺炉にそう言うと、ヒカゲとヒナタは嬉しそうにAに飛びついた。
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
