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日が沈みきって、2人は手を繋いで船内に戻った。
すると、ルフィが驚いたように言った。
「さっきまで一番話してなかったフランキーが一番仲良くなってんじゃねぇか！」
「あら、少し意外ね」
「スーパー仲良くなったぞ！ な！」
『うんっ！ ねえみてみて！ ス〜〜〜パ〜〜〜！』
「ちょ、何教えてるのよ！」
一気に騒がしくなった船内には、夕食のいい香りが漂っていた。
「Aちゃん、焼き魚好きか？」
『うん、しゃけがいちばんすき！』
「鮭か〜鮭はちょっとねェかな〜」
「肉！！」
「肉は今ねェよ！ おめェが食い尽くしてんだよ！！」
『たばこのおにいさんとのびのびのおにいさん、なかよしじゃないの？』
「あはは……いつもは仲良しなのよ」
「うちはみんな仲良しよ♡」
「仲良しィ？ おれとぐるぐる眉毛が？ ぜってェお断りだ」
「こっちこそ願い下げだマリモ！！」
『マリモ……？』
“仲良く”話しながらサンジの絶品料理を堪能した。
ナミと一緒にお風呂に入って、寝ようと思って女子部屋に入ったとき。
Aは違和感を覚えていた。
『なんだかふわふわする……』
ナミとロビンは顔を見合わせて首を傾げた。
「もしかして、船酔いしちゃったかしら……」
「それか、眠くなっちゃったのかも。きっと寝たら良くなるわ」
二人のお姉さんに優しく頭を撫でられ、Aは少し照れながらナミのベッドに入った。
「おやすみ、Aちゃん」
『おやすみ、ナミおねえさん、ハナハナおねえさん』
優しく背をトントンとされて、Aはすぐに眠りに落ちていった。
目が覚めると――
『……あれ、りょう……？』
暖かい日に差し込む窓辺にエリちゃんと二人眠っていたようで、ブランケットが掛けられていた。
ナミはいないし、船内でもないし、海だって無い。
Aはしばらく唖然としてから、キョロキョロと窓の外を見たりリビングを駆け回ったりした。
すると、Aが起きたことに気づいた相澤がやってきた。
「Aちゃん起きたのか」
『しょうたおじさん……』
少し寂しそうにそうつぶやいたAに相澤は首を傾げ、「どうかしたか」としゃがんで目を合わせた。
Aは少しの間言葉を迷って、小さな声で言った。
『……ううん、ゆめみてたの』
本当は信じてる。
みんなの温かさも、潮風の匂いも、フランキーと見た景色も覚えてる。
きっと、あれは夢じゃなかったと。
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
