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首を傾げたAに、ルフィも首を傾げた。
「だってお前、氷だか雪だか使ってただろ！ どんな悪魔の実食べたんだ！？」
『え、えっと、それ、わたしのこせいだよ』
「「「こせい？」」」
今度は一味全員が首を傾げた。
Aは『のびのびのおにいさんの、こせいじゃないのかなあ』とつぶやいて説明した。
『えっとね、ほとんどのみんなが「こせい」もっててね、わたしみたいにゆきとこおりあやつったり、しょうとみたいに“ひ”とこおりあやつったりするの』
「……？ 氷と火を使うってことか？」
『しょうとはそうだよ。あとねー、かつきおにいさんはおててがばくはつするし、もしゃもしゃのおにいさんは「すまーっしゅ！」ってやるんだよ！』
「す、すまーっしゅ……？」
「ほとんどの人が何かしらの能力を持ってるってことかしら？」
『そうだよ！』
ちゃんと伝わったことが嬉しかったのか、Aはパッと明るい笑顔でコクコク頷いた。
ルフィは心底驚いた表情で言う。
「全員悪魔の実食べてるような状態ってことか！？ すげえ！！」
『くまのみさんはたべないよ？ くまのみさんは◯モなんだよ』
「“くまのみ”じゃなくて、“
白とオレンジの縞模様で可愛く喋る魚を思い浮かべながら、Aはふと考えた。
――わたし、なんでのびのびのおにいさんたちのところきたんだろう。
――どうやってきたんだろう。
――かえらなきゃ、エリちゃんおいてきちゃった。
――――どうやってかえるんだろう。
ヒュッとお腹が冷えた気がして、Aは息を呑んだ。
みるみるうちに顔色が悪くなるAに、ナミは心配そうに顔を覗き込んだ。
「どうしたの？ 具合悪い？」
『……わたし、かえれるよね？』
Aの言葉に、みんなは顔を見合わせて困った表情になった。
それを見たAは、益々焦りに襲われていく。
『どうしよう、わたし、うみからのかえりかたしらないよ！ わたし、しょうとに「おかえりー」っていってあげなきゃだめなの……！』
「A、まず落ち着け」
「深呼吸しましょう。肺いっぱいに空気を吸って……私は肺無いですけどね！ ヨホ――」
『かえらなきゃなの……！』
今にも泣き出しそうな声と表情に、どうにか落ち着かせようとお馴染み自虐ネタを披露したブルックだったが、残念ながらなAの焦りが消えることはなかった。
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
