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「海賊は、船で海を旅する……うーん、説明すんの難しいな！」
腕を組んで悩み始めてしまったルフィに苦笑いしたAに、刀を持った男が言った。
「海を旅する泥棒、とでも思っとけ」
『ど、どろぼうさん！？』
ガガーン！ と効果音が聞こえるくらいに驚いたA。
その様子に、男の後ろの骸骨が個性的な笑い声を上げた。
「ヨホホホホ！ 言い得て妙ですね！ 私ブルックと申します！ ところでお嬢さん、パ」
「子どもに何言うつもりだっ！！」
バキィッ！！ と勢いよく骨の頭を蹴るナミ。
混乱に混乱を極めているAに更に追い打ちをかけたブルックは、気を取り直しハットを被り直した。
「いやいや失礼しましたね！ 改めまして……私！！ 死んで骨だけ名をブルックと申します！」
『えっ、えっ、し、しんで！？』
「ええ！ 死にましたよ！」
『！！？？』
今度こそAの頭がショートした。
ぷしゅう、としぼむAにナミはギョッとして「み、水飲んで落ち着いて！」とコップを差し出した。
ナミはAを混乱させないように注意しながら、一人ひとり紹介していった。
それが終わったのを見計らって、ロビンは尋ねた。
「ところでA、あなたどうしてあんな場所にいたの？」
『……わたしもわかんないの……さっきまでね、エリちゃんとおひるねしてたんだけど……』
「エリちゃん？」
『わたしのいっことしうえのおんなのこだよ！ とってもやさしくてかわいいの！』
「じゃあ、エリちゃんはAちゃんのお姉さんみたいな子なのね」
何気なくナミがこぼした言葉に、Aは一瞬ピタリと動きを止めた。
その脳裏には、実の姉の顔が浮かんでいる。
Aはそれを吹き飛ばすようににこっと笑い、『そうだよ！』と答えた。
その後もナミとロビンを中心に会話を続け、お互い少しずつ状況を飲み込んでいった。
Aも少しずつみんなに慣れてきた頃、ずっと一歩引いて話を聞いていたルフィが言った。
「おれそろそろ聞いていい？」
「……今日はやけに大人しいなって思ってたのよね」
「だってそいつ、デカい男苦手そうなんだもん」
「……サラッと自分デカいっつったか？」
サンジがジトッと視線をやったのを気にも留めず、ルフィはわくわくした表情でAに言った。
「お前、悪魔の実食べたのか！？」
Aはキョトンとして『あくまのみ……？ くまのみさん……？』と少しズレたことをつぶやいた。
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
