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「あっ、いた！ あんた大丈夫！？」
「……って、子ども？」
Aの視界いっぱいに、2人の姿が現れる。
Aは少しビクッとして身体を縮こませた。
「大丈夫？ 出られる？」
『え、えっと……』
「よっと」
Aが答えるより先に、麦わら帽子を被った少年がびよーんと腕を伸ばしてAを引っこ抜いた。
Aはギョッとして目を力いっぱいつむった。
すぐ降ろされるかと思ったら、そのまま船の甲板に乗せられた。
Aは何がなんだかわからず、呆然とする。
その間に、声をかけてきた2人は船に戻ってきた。
「サンジくん、温かいスープとタオル持ってきて！」
「今すぐ〜〜〜♡」
「チョッパーも、この子怪我無いか診てちょうだい！」
「あ、ああ！」
Aは更にあんぐりと口を開けた。
し、しかさんがしゃべってる！
あのおにいさんくねくねしてる！
でっかいひといる！
ガ、ガイコツさん！？
というか、さっきぼうしのおにいさんおててのびてた！？
どこから驚けばいいのやら。
チョッパーは「怪我は無さそうだな。けど目ェ回してるぞ？」と言った。
椅子に座らされ、タオルでぐるぐる巻きにされ、温かいスープを飲んで、ほっと息をついたA。
それをじーっと見ている9人の視線に、Aはソワソワして落ち着かなかった。
スープが半分くらいになった頃、ナミと呼ばれた女性がAの前にしゃがんで目線を合わせた。
「サンジくんのスープ、美味しいでしょ？」
『うん、すっごくおいしい……たすけてくれたのも、ありがとう』
「どういたしまして。私はナミ、この船の航海士よ」
優しく微笑んでそう言うナミに、Aは少しリラックス出来たよう。
『とどろきAです』
「Aちゃんね。今何歳？」
『5さいだよ。もうちょっとで6さいなの』
「5歳！ ちっちゃ〜い！」
ナミはニコニコとしながらAの頭を撫でた。
Aはちょっとびっくりして、でも恥ずかしそうに笑った。
その様子に、ナミは「少し安心してくれたかしら」とほっとした。
「ところで、なんであんなことになってたんだ？」
「ルフィ、まず自己紹介しなさいよ」
「あ、わりぃ！ おれはモンキー・D・ルフィ、海賊王になる男だ！！」
『かいぞくおう？』
「おう！ おれたち、海賊なんだ！」
『かいぞく？』
「海賊知らねェのか？」
ルフィはきょとんとしてそう尋ねる。
Aは首を傾げながら頷いた。
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
