エイプリルフール ページ23
本編とのタイミングが合うのに少し時間かかりそうなので、珍しくちゃんと短編を……()
―――――――――
4月1日はエイプリルフール。
その日の朝、轟兄妹のいないA組寮のリビングではある話題に盛り上がっていた。
「ねえ、轟に『Aちゃんをください！』って言ったらどうなるかな？」
そう言い出したのは誰だったか。
なぜか皆の興味を異常に引いたその提案は、瞬く間に発展していった。
寮を出る頃には、HR前に男子全員(爆豪は不参加)で決行することが決まっていた。
そうしてついに時は来た。
焦凍はHRの5分前に教室にやってくる。
ドアを開けた焦凍の行く手を阻むように、男子全員がずらりと並んだ。
ガラッと開いたドア。
紅白頭が見えた瞬間、皆はバッと頭を下げて言った。
「「轟(くん)、Aちゃんを俺(僕)にください！！」」
「お」
焦凍は一瞬ビクッとして男子たちを見回した。
その顔がみるみる苦々しいものになり、焦凍はキュッと口を結んで言った。
「だめだ」
やっぱりな〜的な雰囲気に包まれた教室。
ほぼ全員が「今日エイプリルフールだよ〜」と笑い出そうとした、そのときだった。
「「おにーさん、俺たち本気です！」」
――彼ら、峰田と上鳴の悪ノリが始まったのは。
緑谷はオロオロしながら「え、ふ、二人とも……？」と言う。
そんな緑谷に、二人は噛みつくように言った。
「本気じゃねぇわけねぇよなぁ！？」
「えええええええ」
轟は更にキュッと口を結んで「それでもだめだ」と答える。
そこに更に二人は「お願いします！！」と言う。
それが何往復もして、八百万が「お、お二人とも、そろそろ……」と言ったとき、轟はついに大声で言った。
「Aに結婚は早え！！ まだ6歳だぞ！！」
ご尤もである。
峰田と上鳴が回収されて説経をされる中、まだ膨れたままの焦凍に緑谷は苦笑しながら言った。
「轟くん、今日何の日か覚えてる？」
「……？ 4月1日だろ？」
「エイプリルフールだよ」
焦凍はハッとしたように目を見開いた。
「ごめんね、ほんとはすぐネタバラシするつもりだったんだけど、二人が悪ノリしちゃって……」
「じゃあ、Aをくれってのは嘘だな……？」
「う、うん」
休み時間、保健相談室に「結婚しないよな！？」なんて言いながら飛び込む焦凍が発見され、リカバリーガールとの熱愛が噂されたとかされてないとか。
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
