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「自己犠牲は、感心しない」
『じこぎせい？』
「自分の身を捨てることを躊躇わないことだ。部屋に入ってきたメンバーからの救助が出来なくなることをわかって、窓を塞いだだろ？」
『……うん』
「あれは、良くなかった」
『…………うん』
Aも、怒られることは分かっていた。
でも、自分の救助のせいで誰かが怪我をしたら……と考えると、やっぱりやらずにはいられなかった。
兄と同じように視線を落としてしょぼんとするAに、相澤はまた少し息を吐いてから「でも」と続けた。
「あの状況の中、人を助けようと冷静に判断したことは良かった。Aちゃん、ヒーローに向いてるぞ」
Aはパッと弾かれたように顔を上げる。
相澤は優しく微笑んでいた。
救助に来ていたメンバーも、コクコクと頷いている。
Aは目を大きく見開いて、輝かせた。
授業が終わり、みんなが校舎に戻るためにバスに向かおうとしたそのとき。
Aは『もしゃもしゃのおにいさん！』と緑谷を呼び止め、満面の笑みで言った。
『たすけてくれて、ありがとう！ おにいさん、かっこよかった！』
「あはは、どういたしまして。無事で良かったよ」
『うんっ！ ……それでね』
Aは言葉を選ぶようにして、ギュッと両手を握って言った。
『しょうらいなにになりたいってきいたでしょ？ わたし、きめたの！』
「……え」
『わたし……！』
これが、この少女のオリジンだ。
――――――――――――――――――――
「将来の夢」編、これで完結です！
いやぁ、デクくんはいつでもヒーローですねぇ……
ちょっと焦凍くんが可哀想な終わり方になっちゃったけど、安心してね焦凍くん！！
Aちゃんの大好きな人が焦凍くんからデクくんに変わったわけじゃないからね！！
さてさて、Aちゃんの将来の夢は何になったのでしょうか……？
……いやまあほとんど一択だけども。
でも、さすがにそれは本編で言わせてあげたい！！
ということで、一応明確にはしません！！
この後は、本編のインターンとタイミングを合わせて、リクエストをいただいていたクロスオーバーを書いていくつもりです！
リクエストをくださった方々、本当に長らくお待たせしました……！！
2023/12/01
月木あや
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
