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Aが少し目を伏せて頷くと、東魔はキランッと目を光らせた。
「それなら、一度ヒーロー基礎学の授業に参加してみるのはどうだ？ 特に実践訓練なんかは実際のヒーロー活動を模した演習だから、きっと何か感じることがあるかもしれない！」
これはまさに妙案だった。
リカバリーガールも「なかなか良いことを思いついたじゃないか。私からも校長や相澤先生に話してみるよ」と驚いたように東魔を見ていた。
そこから話しはポンポンと進み、校長や相澤の許可はもちろん、焦凍やA組の生徒たちにも経緯を話し理解を得ることが出来た。
そして2日後の午後、ヒーロー基礎学の戦闘・救助訓練にAの参加が決定した。
しかし、焦凍は少し不満だった。
なぜなら、参加方法が「見学」ではなく「被救助者」としてであったからだ。
何度も「被救助者として参加するのは危険です。遠くから見せてやるべきです」と掛け合っていたが、A本人の希望だと言われるとぐっと押し黙った。
ついにやってきた2日後。
Aは朝からずっとソワソワしていた。
焦凍も心配でソワソワしていたが。
グラウンドβまでのバスを降り、大都市のようなビル街を見上げる。
『うわぁぁぁ……！ おっきい！』
「Aちゃん、準備に行こうか」
『うん！ いってくるね、しょうと！』
「……いってらっしゃい」
相澤に抱っこされてビル街に消えるAを見ながら、焦凍はどんどん不安になっていく。
――高いところには行くなよ……
――建物が壊れてAに当たったりしないだろうか……
――それに……
「轟って過保護だよなぁ」
「いやあんなにかわいい妹がいたら誰だって過保護になるってもんよ……」
「Aちゃん怖がらせないように、いつもより丁寧に救助しないとね！」
そのとき、キィーンとスピーカーが鳴った。
スピーカーからは、相澤の声がする。
〈お前ら普段から丁寧に救助しろよ。今回の訓練は、街中で女児が不審者に襲われそうになり逃げて行方不明になったという設定だ。防犯カメラには、犯人と思われる男が女児を追いかけている映像が残っている。犯人はまだ捕まっていない。成功の条件は、犯人の拘束及び女児の保護だ。最後の目撃情報は……〉
一通り状況説明が終わったあと、指定されたチームに分かれ、ついに訓練がスタートした。
―――――――――
予想以上に長くなりましたね……
もう短編集の欠片もないよ……
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
