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「よーしAちゃん、お姉さんたちとお風呂入るぞ〜！」
『はいるぞ〜！』
パタパタと芦戸たちを追いかけてお風呂へ行くA。
それをソファに座ってほほえみながら見ていた焦凍は、「走って転ぶなよ」と声をかけた。
そこへ、緑谷がやってくる。
「轟くん、隣いい？」
「ああ」
「ありがとう」
よいしょ、と座り、手に持っていたマグカップを口に傾けた。
「それ、なんだ」
「これ？ ココアだよ。Aちゃんのために置いておいたココアの粉の賞味期限が近くて。轟くんも飲む？」
「いや、あとでAと一緒に飲む」
「そっか」
ゴク、ともう一口ココアを口にして、緑谷は突然唸りだした。
何やら言いたそうだが、焦凍はただ首を傾げた。
「緑谷、体調でも悪いのか」
「えっ！？ あ、いや、違うよ！ 全然！ 元気！」
「？ そうか」
焦って誤魔化した緑谷。
でもやっぱり「うーん……うーん……」と唸っている。
一度深呼吸してから、パッと顔を上げた。
「あ、あの、轟くん」
「なんだ？」
「さっき、Aちゃんに聞いたこと、ごめんね」
「？ なんで謝るんだ？」
「えっと……ヒーローを目指してここにいる僕たちと一緒に生活していれば、Aちゃんもヒーローになりたいって思うかもしれない。でも……Aちゃんの中では「ヒーロー＝エンデヴァー」なのかなって、言ってからやっと気づいて」
「……そう、かもな」
「……多分、変に悩ませちゃった。本当にごめんね」
焦凍は少し無言になってから、静かに首を振った。
「いや、俺も聞きたくて聞けなかったことだった。それに……いつかはAの中での精算も必要だ。多分、ちょっとしたきっかけになったと思う」
「そう、だといいんだけど……」
みんながテレビを見ている中、二人のところだけしん、としていた。
そのとき、二人の背後から声がした。
「何葬式みてェな空気になってんだ、気持ちわりぃ」
「うわっ！？ かっちゃん！？」
おばけでも見たかのような反応の緑谷と、「お」とだけ言った焦凍。
声をかけてきたのは、爆豪だった。
二人から少し離れたところにドスンッと座り、普段より落ち着いた声で言った。
「……余計なこと言ってんじゃねぇ。まだ傷は治ってねぇんだ」
「さっきのこと、だよね……」
なんで爆豪がそんなことわかるんだ、なんて愚問だった。
爆豪なりに普段から気にかけているのが、この一言で伝わってきた。
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
