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『わ、かつきおにいさんすごい！！』
「ハッ、当然だろ」
『しょうと、しょうと、かわいい！？』
「ああ、かわいいぞ。良かったな」
『うんっ！ かつきおにいさん、これまいにちやって！』
「は？ コイツにやってもらえよ」
「俺は髪を結ぶので精一杯だ」
爆豪にものすごい顔をされた。
爆豪はすごいな、と言ったらもっとすごい顔をされた。
すると、無言で立ち上がって共同スペースを出ていってしまった。
『……かつきおにいさん、おこっちゃったのかな』
「そんなことはないと思うぞ。それよりA、たんこぶ冷やしておけ」
『……うん』
Aはしょんぼりした顔で氷嚢を受け取った。
少しの間二人で話していると、爆豪が戻ってきた。
そして、持っていた本を俺に投げた。
反射的にキャッチする。
「それで練習でもしてろ」
本の表紙を見ると、「かわいい髪型」って書いてあった。
……なんで爆豪がこんな本持ってるんだ。
なんて思ったけど、ハッと気づく。
きっと、Aのためにいろいろ考えていてくれたんだろう。
お礼を言おうと顔を上げたら、爆豪はもういなかった。
「……A、上手くできないかもしれないけど、明日は俺が編んでやる」
『ほんと！？ えへへ、ありがとう！ かつきおにいさんにもあとでありがとうっていわなきゃ！』
「そうだな」
爆豪は意外と子ども好きなのか、なんて思った1日だった。
――――――――――――――――――――
No Side
ほのぼのと話すAと焦凍。
二人と爆豪は気づかなかった。
――――物陰に大勢の傍観者たちがいたことに。
「――え、あれほんとに爆豪？」
「いやいやいやいや爆豪あんなに優しくないって」
「くぅっ、子どもに優しいなんて漢らしいぜ爆豪！」
「ちょっと、切島くんしーっ！！」
「さすが才能マン……」
「いやでも本持ってたぞ、練習してたんじゃねえのか？」
「それでも綺麗に編めるのさすがだよね〜」
「かっちゃん、別に子ども嫌いじゃなかったんだ……」
「デクくんも知らんかったん？」
「うん。子どもと話してるかっちゃん珍しいから……」
「まあ、あの顔あの態度じゃ普通怖がられるだろうからな」
「っていうか……」
「「「三つ編みAちゃんかわいい〜」」」
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
