友達 1 ページ1
※5歳児に一人でお留守番させるのは結構危険なので、現実では絶対にしないでくださいね！！
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No Side
これは、Aにとってはつい最近の出来事、彼にとっては昔の思い出の話。
Aが5歳になったばっかりの冬、一度だけ一人でお留守番していた日があった。
父はヒーローの仕事、燈矢と冬美と夏雄は学校、焦凍と母は風邪で病院に行っていた。
初めてのお留守番に、Aはどこかワクワクしていた。
しかし、家でのAの立場はそう心地良いものではないのだから、もちろん自分専用のおもちゃなんてAが数えられるほどしかない。
他の遊び方なんて知らないし、友達もいないから、ただただ時間だけが過ぎていった。
『……さみしいな』
普段家族がいるからといって遊んでもらえるわけでもないが、それでも誰もいないよりはマシ。
特に、親の愛情を一番受けなくてはならない時期に一人なのだから、寂しいのは当たり前。
しんとする家の中がだんだん怖くなってきて、Aは上着も着ずに外へ飛び出した。
Aはもともと寒さには強い体質のため、長袖セーターとスカートでも十分だと感じた。
公園が近くにあるのは知っていた。
だが、道がわからない。
やっぱりおそともおんなじか、とAはつぶやく。
とぼとぼ帰って我慢してようと考えた、そのときだった。
「こんなに寒いのに、そんなうすぎじゃあかぜひいちゃうよ」
『……？ だぁれ？』
見たことのない男の子だった。
心配そうに眉を下げ、自分の上着を差し出している。
Aは慌てて首を振る。
『わたし、さむいのとくいなこせいだからだいじょうぶなの！』
「そうなの？ すごいなぁ、寒いのとくいな個性って、どんなの？」
『えっとね、ゆきとかこおりとかうごかせるの！』
「わぁ、雪女みたいでかっこいいね！」
薄着の少女と厚着の少年が二人だけで道端でにこにこしながら話している光景は、なんとも異様なものだっただろう。
しかし、それに気づかないのが子ども。
男の子は目をキラキラさせながら言った。
「きみのお名前は？ ぼくは――――」
『すてきなおなまえ！ わたしはとどろきA！』
「Aちゃん！ よろしくね」
『よろしくね！』
そうしてこの瞬間、Aに初めての友達が出来た。
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作者名：月木あや | 作成日時：2023年7月19日 12時
