103.こわいけど ページ10
『ふゆねえが、おとうさんもかわったんだよーっていってたよね？』
「……ああ、手紙で言ってたな」
『もういっぱいおこったり、いたいことしたりしないんだよね？』
「ああ。しようとしても、俺が絶対にさせない」
しょうとがはっきりそういってくれたから、ちょっとあんしんした。
でも、まだちょっとだけてはふるえてる。
ぎゅっててをにぎってふるえをおさえ、わたしはうなずいた。
『それなら……あいたい。わたしも、いまのおとうさんにあってみたい』
「でも……怖いだろ」
『うん……ちょっとこわい。でも、しょうといてくれるでしょ？ それならだいじょうぶだよ！』
「……ああ、絶対守ってやるから、安心しろ」
しょうとはわたしをうしろからぎゅーってだきしめてくれた。
わたしもモゾモゾってしてうしろをむいて、しょうとにぎゅってした。
「じゃあ、姉さんにはそう伝えておく。でも、やっぱり嫌になったらすぐ言えよ。やめてもらうから」
『わかった！』
しょうとは“しんぱいしょう”だなぁ。
でも、それがすごくうれしい。
ありがとうってきもちをこめてもっとぎゅーってすると、しょうともぎゅーってしかえしてくれた。
しょうとはすぐふゆねえにメールをしてくれたみたいで、いっしゅうかんごくらい、おとうさんのおやすみとしょうとのおやすみがかさなってるひにきまった。
おもったよりもすぐあうことになってちょっとびっくりしたけど、しょうとがいてくれるっておもったら、あんまりこわくなかった。
……っていうのは、ちょっとうそかも。
やっぱりこわいものはこわい。
いまでもあのこわいめをおもいだしちゃうし、あつくてくるしいほのおもおぼえてる。
それだけでいきがくるしくなる。
でも、あのころとはちがう。
いつもてをつないで、ぎゅーってしてくれるしょうとがいる。
だからだいじょうぶ、だいじょうぶ。
そういいきかせて、おとうさんとあうひをまった。
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作者名：月木あや | 作成日時：2024年2月3日 17時
