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あぁ、
“発信機”がその場にあるかまた確認してる。
無意識に私はカーディガンの裾を伸ばして手を隠した
ふとママの持ってるベルが鳴って、慌てて席に着いた
｢時間通りね｣
｢｢『いただきます』｣｣
ふかふかのベッド
年少者でも好き嫌いなく食べられる美味しいご飯
白ずくめの制服
首筋のマイナンバー
極めつけは
毎日のテスト
ママは“将来のために”とか“あなた達のために”とか言うけど、そんな嘘私には通じなかった。
異様なほどレベルの高い問題。
外の世界を知らない私でもわかる。
感じたことのない違和感。
《Age 11 type one
各問10秒以内に答えなさい
それでは始めます》
《続けてtype2＿＿＿＿》
どうも好きになれないこの時間。
私たちの“選別”をしてるこの時間は気持ちが悪くて毎日吐きそうなこともあった。
｢終わったぁー｣
｢つかれたぁー、｣
しばらくするとママがまた前に立つ
｢じゃあ、結果を返すわね！｣
｢ノーマン、レイ、エマ、それにユリ。すごいわ3人とも！
また300点！フルスコアよ！｣
｢やった！！！｣
でも、エマが喜んでるこの瞬間は好き。
ただの《親子》にしか見えないから。
終われば自由時間。
｢うへ、ノーマンが鬼だ｣
ドンの声が耳に入って抜けてく
｢レイとユリは？｣
『私今日はパス』
｢俺も｣
｢チェッ、ユリは兎もたまには混ざればいいのにレイ｣
私もレイもさほど気にせず本を読み始める
《ウーゴ冒険記》何度も読んだお気に入りの本
｢OK！数えるよー！｣
ノーマンの声が俄に響いた。
『ほぼ森に散ったね』
｢まぁ、この周りはほぼ森だけど｣
『まぁね、』
ノーマンとレイがお互いに目配せすると
“鬼ごっこ”のスタートだ。
小さな頃から遊んだこの森はハウスの庭
この広い敷地は全部私たちの｢庭｣だけど、
近づいてはならない場所が2つある
『外は通じる｢門｣と森の｢柵｣の向こう』
｢急になんだよ｣
『いや、私がレイの鼻歌を聞くまでは私も孤児だと思って生きてたの。その時に｢門｣に行ったでしょ？』
｢あぁ、ママに内緒でな｣
『今はもうなんで近づいては行けないかわかる、真実を勘づかせない為、でもね当時はすごく不思議だったなぁって思い出にひたってた』
｢…コニーが最後だからか？｣
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作者名：ゆる | 作成日時：2022年3月28日 18時
