3件のメッセージが届きました【夜久衛輔】

8：とんだ勘違い野郎 ページ10

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衛輔をじっと見る。

身に纏(まと)う空気感というか、言葉のイントネーションにしても、引き出された新たな顔を見ているような。

でも変わってないような、よくわからない。



「なあ、A」



ぽーっとテレビを見ていた衛輔が、急に振り返ったからぴくりとする。



「なに？」



「･･･結婚、したんか？」




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「･･･は？」



1回、ゆっくり噛み砕いてみよう。

と、テーブルのアールグレイ色を見る。


私が、結婚？

ケッコン？

ンン？
2年も彼氏いないのにどんな出世ですか？


頭中に飛び交う疑問符。

やっぱりわけがわからなくて、もっかい衛輔を見て怪訝(けげん)な顔をする。




「や、だって、ほら、その、薬指！」



私の手首を掴んで掲げる。

と、薬指には、自分にご褒美で買った、ちょっとお高いかわいいリボンモチーフの指輪。



「これ、自分で買ったやつ･･･」



デパートに行った時に一目惚れしたのと、

彼氏いないとかそういうことを言うと上司から冷やかされるから、それ防止もあり。


はじめて人に言ったから、気恥ずかしくて声が小さくなった。




「お前の男は指輪の金も出してやらん奴なんか！！！？」



誤解が解けると思ったら、

立ち上がって、さらに･･･激情！？


さすがに私もこれには慌てて、



「夫も彼氏もいないから！！！！」




情けないカミングアウトがこだました。

日曜の国民的アニメが始まりを伝える、午後6時。

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