13:再提示 ページ17
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長年の想い人と唇が重なる、というのが、
今日来るだなんて思いもしてなかったから。
どんな顔をしたらいいのか、わからなくて。
そんな夢みたいな現実がこわくて。
ぎゅっと、目を瞑った。
ドクン、と。
数秒、
胸が苦しくて。
ドクン、と。
数秒、
何も考えられない。
どうしよう、私が衛輔とキスだなんて。
そう理解すると、
沈めた期待が、ぷかぷかと浮かんでくる。
どうしよう。
焦らされれば焦らされるほど、
期待と焦りは加速して。
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「なーんて、」
ふに、と唇にあたる感触と、衛輔の声に目を開けると、それは彼の人差し指で。
青信号に切り替わり、すぐさま私との距離を開け、ハンドルに手を戻した。
「こんなことされたら心配だからな、やすやすと男とふたりで飲みに行くんじゃありません」
「・・・ハ、ハイ」
ぽかん、と呆気にとられてしまう。
まるで告白シーンの途中で悪びれもなく部外者が入ってきたかのような、甘い雰囲気の途切れ方。
「特に黒尾はだめだ、オープンスケベかと思いきや生粋のむっつりスケベなんだから要注意人物だぞ」
衛輔の見事な切り替えは、圧巻すぎて、
もはや酔いの欠片すらもない。
それよりも、さっきの余韻がすごくて。
フィルターが数億倍くらいかかって見える。
私の心はたやすく魅了され、体がしびれて、動けない。1ターンくらいやすませてくれ。
これじゃああの時とおなじ、
また衛輔の檻の中だ。
「って、聞いてんのか?」
「う、うん聞いてるよ」
「うそ」
へら、っと、わざわざこちらに見せつけるようにして笑う。
数年間、わかりきった気持ちをまた簡単に煮えたぎらせて、再提示してくる。
こんなの、ずるい。
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Mika - すごく面白いです!続編書くの頑張ってください! (2019年4月27日 7時) (レス) id: 7da54b6545 (このIDを非表示/違反報告)
ファンミ - 続編おめでとうございます!!!!いつも(夜っ久ぅぅぅぅぅん)と心の中で叫んでおります(笑)これからも頑張ってくださいね!!!!!!! (2019年4月2日 22時) (レス) id: c64ff5576e (このIDを非表示/違反報告)
霧雨(プロフ) - こんばんは!続編おめでとうございます!この作品始まった頃から読んでてとても素敵だなと思ってました!もちろんその時からお気に入り登録してます!こーた@しぐシグさんの作品大好きです続編でも更新頑張ってください!長文コメ失礼しましたm(__)m (2019年4月2日 19時) (レス) id: ad5e0a46a7 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 続編おめでとうございます!夜っ久ん大好きなのでとても嬉しいです!これからも頑張ってください! (2019年3月31日 17時) (レス) id: a3fef1207a (このIDを非表示/違反報告)
こーた@しぐシグ(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございますー!やっぱり最初はドキリとしますよね!作者もしてやったりです!(笑)続編でも楽しんでいただけるよう頑張ります(;_;)! (2019年3月31日 8時) (レス) id: 83e7c0c0a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こーた@しぐシグ | 作成日時:2019年2月15日 17時