3件のメッセージが届きました【夜久衛輔】

9：出来ない女 ページ12

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「そんなに落ち込むなってぇ」



ネクタイを緩めた黒尾は、舌足らずな口ぶりで頬杖をつき、やれやれ顔でこちらを見る。


黒尾とは、高校3年でクラスが一緒で、なんの縁か知らないが、いつの間にか同じ会社の違う部署で働くと近しい存在になっていた。

年数的には私のがちょっと先輩なのに、悔しいけどあいつは仕事できるから、同僚。

むかつくけど。




「これで元気にいられたらな！万年片想いとなんてとっくにオサラバしとるわ！」

「ごもっとも」




かくかくしかじか。

昨日、数年ぶりの幼馴染みと再会を果たしたのはいいが、いい年齢なのに、彼氏いない宣言を堂々とかましてしまいましたとさ。


それだけならまあ、って感じじゃん。

でも、私はひと味違うのよ。
かます女なのよ。


恋愛経験豊富な女なら、そこで、

「衛輔こそ、どうなの？」

とか上目遣いで聞くんだよ。



でもね、独り身で寂しい働きウーマンの私は、


「あ、あっ、あー、もうこんな時間！サザエさんはお家で見る派なんだよね！じゃ、そういうわけでっ！」


とかいう、意味のわからん言い訳をこじつけて、小っ恥ずかしい暴露大会を一人かまして帰ったよね。

これはなかなかイキってるよね。

そんでさ、自分が傷つくのが怖くて聞けなかったよね、っていう。


どうも、効率的な仕事ぶり、充実した私生活、

ダメウーマンです！



黒尾に話したらこいつ腹抱えて笑いやがるの。

しかも、ぶひゃひゃひゃひゃ、だと！


くそが！

いくつになっても治りやがらん寝癖の部分を引っこ抜いて、そこだけハゲ散らかせてやるからな！



とまあ、今はいい感じに酔ってこんな感じだけど、

お酒がまわる前に笑われたもんだから、見事なメンタルブレイクに大手をうたれて、かなり落ち込んでたわけで。


それが彼の最初のセリフに繋がる。と。

10：同僚、黒尾→←トーク

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