及川徹の姉は天才女優だが青春を知らない【HQ】

停滞 ページ26

・




『俺は、満足してない。1人の凛川 Aのファンを満足させられてない』



「……」



このままやっていいのか



挑戦しても無駄なんじゃないのか



それなら、辞退した方がいいんじゃないのか



だけど、もうSNS上には言ってしまった



やらなくちゃいけない



ニュースにも取り上げられてる



「…うぇっ……」



気持ち悪い



こんなことなったこと無かった



どれだけ夜中まで起きて練習しても、ご飯を食べなくてもこんなことにはならなかった



『ファンを喜ばせられない』のは初めてで



「…いや、やるんだ私」






徹は、私の夢を応援してくれた



初めこそ一緒にいられなくてガン泣きされたけど



徹「おれ、姉ちゃんのファン1号だから忘れないでね…！おれがいっつも姉ちゃんのこと1番応援してるから！！」



「！…もう、可愛いなぁ徹は〜！！」



その言葉があるから私は頑張れた



才能は開花させるもの

センスは磨くもの





悩んでいた徹にこの言葉を投げかけたら、凄く喜んでくれた覚えがある



…私は、天才じゃない徹が羨ましい



こんなこと言ったら確実に怒られるけど



…徹は、成長した



私は？



私はいつまで停滞している



いつまで逃げ続ける？？



目を背けるな



前を向け



前を




「……向きたくても、青春なんて分からないんだって……」

吹っ切れ→←仮面

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す