【カリスマ】のんびり行こう 2 (ページ3)

今日:28 hit、昨日:28 hit、合計:2,888 hit

#53 ページ3

なんでもない休日のある日、リビングには珍しく全員が集まり各々好きなように過ごしていた。
わたしはテラさんのお喋りに付き合いながらも度々猿川さんを目で追っていた。
そこでふとテラさんのお喋りが止まった。

「…テラさん？」
「テラくんと喋ってるのに他の人間見ないで」
「アッハイ」

機嫌を損ねてしまった。不満げな顔で頬杖をつきそっぽを向くテラさんの機嫌をどうにか直そうとアタフタしているとわたしに選択肢が与えられる。

「悪いと思うならテラくんと一緒にカフェ行こ」
「カフェ？」
「新しく出来たところ♡ケーキ美味しいんだって!! お詫びにご馳走して」
「それくらいでいいなら…」

この約束の時点で機嫌が治ったのか「じゃあ今から準備して、行こ」と可愛らしく小首を傾げ腕を引っ張られる。

「依央利くん、今日おやつ要らないから」
「どこか行くんですか？」
「うん、Aちゃんとデート♡」
「えっ」

その一言に空気が固まる。その場全員の視線が1人にゆっくりと注がれた。というのもテラさんの言葉に反応したのは本橋さんでは無い人物だったからだ

「…猿ちゃん」
「部屋戻る」
「逃がすな！天彦捕まえて！！」
「ギャ！？離せ！！」

テラさんの言葉に反応した猿川さんは耳を真っ赤にしながら天彦さんによって簡単に捕まってしまう。
わたしと視線がぶつかりさらに顔を赤くした彼を天彦さんが「sexy…」と至近距離で見つめていた。

「猿川くん、キミそろそろ認めな」
「なにが」
「僕とAちゃんがデートするって聞いて思わず反応しちゃったんでしょ」
「してねえ！」
「この場にいる全員が聞いてるんだよ。ごまかすな！」
「猿ちゃん、Aさんの事好きなんでしょ？だったらそう言いなよ」
「好きじゃねえ！！！！」

再度空気が固まる。
次に視線が集まった先はわたしだ。

「…好きじゃ、ないんですか…」

目に見えて落ち込んでいくわたしにテラさんが「酷い男だね、よしよし」と慈愛を向け、ふみやくんは「振られてんじゃん」と半笑いを浮かべている。
天彦さんの腕の中で「ちが」「今のは」と弁解の言葉を探していた猿川さんだったが遂には煩わしそうに天彦さんの腕を振り払い苛立ったようにわたしの顎を掴み強引に上へ向けた

「好きだよ馬鹿野郎！！！！！言わねーと分かんねえのか！！！！！！」

空気は一変、ハウスはお祝いムードに。
その日の晩御飯は赤飯だった(本橋さんは真っ赤な顔の猿川さんに滅茶苦茶怒られていた)