【カリスマ】のんびり行こう 2 (ページ2)

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せっかく縮まった距離から遠ざけるように、猿川さんはわたしを睨みつけて拒絶した。本気の拒絶、本気でもう関わりを絶とうとしている。

「…はぁ」

思わずため息が出た。
反応が意外だったのか猿川さんは戸惑うようにこちらを見つめる

「猿川さんってば、自信家ですね」
「…は？」
「自分の行動がわたしに影響を与えると思っているのかもしれませんが、そんなの関係ないですから」
「何言って」
「全部、わたしが望んで選んでいることなんです。猿川さんの傍で喧嘩に巻き込まれることも、少し刺激的な体験をすることも、あの時貴方を守ろうとしたことも」
「…」
「猿川さんの事情に巻き込まれているわけじゃない。わたしが好き好んで巻き込まれに行っているんです。」

暴論であるという自覚はある。けれどそれは嘘じゃない

「…滅茶苦茶言ってんじゃねぇ」
「あはは」
「…チッ」

猿川さんはどう言葉を続けようかと迷っているようだった
自分からの拒絶にわたしが大人しく引き下がると思っていたのだろう。酷い人だ、わたしが猿川さんを好きだと自覚しながら冷たくあしらおうなんて。

「拒絶するならもっと本気でしてください」
「あ？」
「そんな寂しそうな顔で拒絶されたら離れられなくなります」

銀色の瞳を隠す桃色の髪を撫であげると猿川さんの体温が一気に上がるのを感じた。

「…わたし、好きな人には結構しつこいタイプなんです」
「知ってる」
「だから猿川さんが本気で嫌そうにするまでそばに居ます」
「…居なくていい」
「そう感じた時は今度こそ本気で拒絶してくださいね」

リビングからテラさんがわたしを呼ぶ声が聞こえる。猿川さんも一緒に行こうと誘うが「行かねえ」と布団に潜られNoを突きつけられた。
顔が赤い今戻るとからかわれるとでも思ったのだろう。こういう所がどうにもツボなのだ、可愛い
もう一度名前が呼ばれた。早く戻らないと、と部屋を出ようとしたところで言い忘れていたことを思い出し、もう一度猿川さんの方へ振り返る。

「猿川さん」
「早く行け」
「好きです」
「…は」
「曖昧にしておきたくなかったんです。返事、考えてくれると嬉しいです」

言い逃げるように部屋から出ると、後ろから「くそー！！！！」と暴れる音がする
わたしも熱くなってきた頬を押さえながらリビングへと急いだ。