菊池家のお手伝いさん (ページ4)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:16,367 hit

4 ページ4

中学生の風磨は反抗期の真っ最中だった。

風磨のお母さんは風磨を産んですぐに病気になり寝たきりの状態らしい。

きっと風磨はお父さんに厳しく育てられてきたんだろう。

そして私は邸内で風磨と会ってもいまだ無視され続けていた。

その事でおじさんは風磨のことを叱っていたけど逆効果なのでは…？と私は思っていた。

私のせいで、おじさんと風磨の仲まで悪くなってしまうんじゃないだろうか。

今ならわかる。

あの頃、風磨が私を嫌っていた理由が。

きっと私が風磨の立場でも同じ事を思っていただろう。

親が突然連れてきた同い年の知らない奴。

急に家族だと言われても無理がある。

当時まだ中学生だった風磨に愛人の娘だとゆう説明はしていない。

私は考えた。

自分がこの菊池家に居るにはどうすればいいのか。何をすればいいのか。

いきなり家族とゆうハードルは高いんじゃないだろうか。

｢そうだ！｣

私は部屋から飛び出し、おじさんとばーやのもとへ走った。

父｢あれ？どうしたの、Aちゃん｣

｢あ、あの！私、家族じゃなくてもいいです！｣

父｢え？｣

｢私をここのお手伝いさんにして下さい！お手伝いさんとしてここに住ませて下さい！｣

ばーや｢あら？私の出番かしら｣

ばーやはニッコリした目でこちらをみていた。

父｢Aちゃん、どうゆうこと？｣

私は必死に説明した。

なんの血の繋がりもない私が急に家族なんて言っても通用しない。

なのに、ここの人はみんな良い人で私を温かく迎えてくれた。

私はそれだけで充分だった。

私はここへ来ておじさんと風磨の仲を悪くしに来たんじゃない。

菊池家のために少しでも役に立ちたい。

菊池家のために何かできる事はないのかなって。

おじさんの気持ちはとても嬉しいけど理由もなくこの家には住めない。

風磨とだって...できれば仲良くなりたい。

せめて自分でできる事は全部自分でしたい。

いつか自立できる歳になった時に1人で生きていけるように。

私がめちゃくちゃな事を言ってるのに、おじさんは全部理解してくれたようで。

父｢Aちゃん、君はやっぱりお母さんによく似ているね。｣

｢え？｣

父｢よし！ばーや！明日からAに菊池家の手伝いの仕事をいちから全部教えてやれ。｣

ばーや｢はい。かしこまりました。｣