菊池家のお手伝いさん (ページ1)

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ー｢風磨おぼっちゃま！｣

風磨｢あ？｣

｢ネクタイが！｣

風磨｢あー別にいいって。自分でできるし｣

｢できてないから言ってるんです｣

私は風磨に駆け寄りネクタイを丁寧に結び直した。

風磨｢今日もお節介な奴だな｣

｢はい！できた！いってらっしゃいませ！｣

風磨｢いってらっしゃいませじゃねーよ、お前も行くぞ｣

｢うわ！もうこんな時間？！｣

風磨｢お前も車乗ってけば？時間ヤバくね？｣

風磨はいつもそう言ってくれるけど、これは私のケジメ。

頼ってはいけない。

自分でできる事は自分でしたいの。

｢大丈夫です！！私は自転車でいきます！全速力でいけば間に合いそうだし！では、先にいってきます！｣

風磨｢いや、結局お前が先に行くんかい。また後でな～｣

車の助手席の窓から手を振る風磨に小さく手を振り返して私は自転車で登校した。

いよいよ高校生活最後の1年が始まった。

3年は風磨と同じクラスになれるといいな...

散り始めた桜の花びらを掻き分け私は自転車を漕いだ。

全速力で。