私のヒーロー【成宮鳴】 (ページ9)

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幼馴染の鳴くん② ページ9

やばい……。やってしまった。

家にたどり着いたはいいけど、自分の家の前に人影が見える。

あのシルエットは紛れもなく━━━

「あ！！！A！！もう！！！！遅いよ！！！！」

『め、鳴くん、っ━━！』

話しかける間もなく私は鳴くんの腕の中にすっぽりと収まってしまった。

「すごく心配したんだから！今日入学式だって知ってたけどさ！
変な男に捕まったんじゃないかって落ち着かなかったんだから!！」

『ご、ごめん……。鳴くん、落ち着いて…ここ外だから。お願い……。』

「嫌だね！！！Aが悪いんだから！とりあえずお家入るからね！！」

『え、鳴くん……ここ私の家――』

「なに？」

結局鳴くんの押しに負けて家に上げてしまった。

別に初めてのことではないんだけど、鳴くんはあの稲実のエースで寮生なんだから

何かあって鳴くんにデメリットがあったら嫌だなって思ってはいる。

本人に何回かそのことは伝えてはいるんだけど、この通り聞いてもくれないんだから……。

「んー！やっぱりAの部屋は落ち着くねー！」

『あんまり長居しないでねぇ……。』

鳴くんにそう言いながら麦茶を出す。

「なんなら、俺泊まってくけど？」

意地悪な笑みを浮かべながら私を見つめる鳴くん。

『鳴くんのばか！私のことからかってるよね！？』

「ハハハ、顔真っ赤だよ？可愛いね。そんなに俺とお泊まりしたいの？」

『あんまり意地悪してると追い出すから……。』

「へぇ。Aこそ、俺にそんなこと言っていいの？」

『……へ？』

鳴くんにそう言われ間抜けな返事をすると、フワッと身体が軽くなり引っ張られる感覚に襲われた。
直後視界が鳴くんと自分の家の天井になっていた。