いつも近くに居る�� ページ37
『え、あ……その、ちが…』
「へぇ？Aちゃんは、もっと俺に来て欲しいんだ？」
ニヤニヤしながら私に顔を近づける鳴くん。
『め、鳴くん、ちか…い……』
「わざとやってんのー。」
鳴くんの青くて透き通る目に吸い込まれそう……。
どんどん体温が上がって鼓動が速くなるのを感じる。
『鳴くん……あのね、』
「なーに？」
『や、やっぱりあんま家来ないで……』
「え！？なんで！！」
『んー……』
「俺には来て欲しくないんだー。」
『そういうことじゃない…！』
「じゃあなにー？」
拗ねてしまったかのように頬を膨らませる鳴くん。
『私、鳴くんに甘えてばっかりはやめたくて……。
だから、高校選ぶのだって青道にしたのに……』
弱い自分を変えたくて…だから…
『お兄ちゃんが居なくなってから私は誰かに頼りっぱなしで、なにも自分でやり切れてないの。』
なんだか鳴くんの顔が見れなくて、下を見て話してしまう。
「……別に1人で頑張んなくてもいいんじゃない？」
『え…？』
「なんで1人で全部やろうとしちゃうの？」
『…誰かの力を借りてばっかりだから。』
「それでもいいじゃん。Aのことを助けたくて傍に居てくれる人は、Aのこと迷惑だなんて思ってないよ。」
『……っ！』
「俺だってエースだけど、1人で野球してないしさ。」
言われる言葉一つ一つに衝撃を受けてしまう。
まるで今まで欲しかった言葉を全部言われているかのような感覚…。
「俺はエースだからみんなの期待に応える。でも俺のこと輝かせてくれる奴も居ないとねー！」
当たり前のことかのように話す彼を見て、胸のつかえが取れたように感じた。
『鳴くん…ありがとう。』
「……。」
『……鳴くん？どうしたの？』
「べ、別になんでもないし！ってか俺眠いんだけど！！」
『えっ…んー……寮には戻ら…？』
「あー、こんな夜中に俺のこと帰すのー？俺カワイソー。」
『でも布団1個しか……』
言いかけた瞬間フワッとなにかに包まれた。
「さっきみたいにさ、一緒に寝ればいいでしょ！」
『え、あ……えぇ…。』
「なに！？なんでそんな微妙な反応！？」
『わ、私…その……お風呂入ってなくて…。』
「だろうねー。お日様の匂いする。」
『お、おひ！？』ﾊﾞｯ
「ちょ、なんで急に立つの！」
『お風呂入ってくるからあああ！！』
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作者名：焼海豚 | 作成日時：2021年3月18日 15時
