私のヒーロー【成宮鳴】 (ページ36)

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いつも近くに居る② ページ36

「本当に大丈夫だから。信じて？」

鳴くんがあまりにも優しく言ってくれるから……思わず縦にコクっと頷いてしまった。

「A、こっち来て。」

鳴くんが腰かけているベッドに手招きをされる。

その隣にストッと座ると、鳴くんは私の顔を覗き込んだ。

『ちょ、め、いくん、ちか……』

「A、泣いたでしょ。」

図星を突かれた私は思わず固まってしまう。

『な、なんで、わかるの……？』

「Aの顔見たらすぐ分かる。」

嘘っぽい……けど、信じざるを得ない。

なぜなら鳴くんは、いつも私が泣いていたことを隠してもバレなかったことは今までに1度もないから。

「球場で会った時は元気だったのにさ、なんかあったの？」

『……。』

鳴くんは心配そうに覗き込みながら、私が話すのを待つ。

『今日ね、学校着いてから、御幸先輩に呼び出されてたの。』

「一也！？え！？なんで！口説かれた！？！？」

『ち、ちがうよ…。
鳴くん、お兄ちゃんのこと御幸先輩に話したでしょ。』

そう言うと鳴くんは先程までの勢いは無くなり少し目線を下に移した。

「うん。話した。Aの家に行った帰りに一也から連絡が来て、その時聞かれた。」

『……聞かれた？』

「Aは久遠の妹なのかって。」

『そうなんだ……。』

「一也も…久遠と関わりがあった奴だから。」

『うん……今日ね、色んなこと聞いた。』

「そっか。」と鳴くんが呟くと私の頭を撫でる。

「一也にも久遠のこと聞かれたのか？」

『……うん。』

「……頑張ったね。」

私の頭を撫でる鳴くんの手が心地良い。

御幸先輩にも……撫でられたけど、なんだ違うものを感じる。

『鳴くんって…いつもタイミング良いよね。』

「え？なにが？」

『鳴くんが来てくれる時って、いつも私が辛い時とか寂しい時とか…泣いてる時だから。』

……それでいつも救われるんだ。

私は1人じゃないって思える。

「当たり前でしょ！」

『え？』

「だって俺、Aのヒーローだから！」

彼はそう言って無邪気な笑顔を私に向ける。

すごくキラキラしてて、温かく感じる。

あの時と一緒だ。

鳴くんだから……こんなに温かくて心地良く感じるんだ…。

『……鳴くん。』

「なーに？」

『…私が泣いてない時も、もっと来てね。』