私のヒーロー【成宮鳴】 (ページ12)

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意地悪な幼馴染③ ページ12

「だから、一也のことかぁー。って。」

『鳴くん、御幸先輩のこと知ってるの？』

「そりゃあAは昔からあいつのことしか目に入ってなかったから、一也のこと知らないかもしれないけど、一也は雑誌に取り上げられるくらい注目されてる奴だからね。」

『へぇ…。』

「俺には負けるけどね！！」と言ってくる鳴くんを横目に私はもう一つの疑問をぶつけてみた。

『でも鳴くん、さっきから「一也」って呼んでるけど、お友達なの？』

「一也とはシニアの試合でよく話してたし、一回稲実に誘ってるからね！友達ではないけど！！」

『そうなんだ……』

シニアの頃、よく話してたなら、御幸先輩はお兄ちゃんのこと知って━━……

「ところで、一也となんか話したの？」

『いや……軽く自己紹介しただけで、それ以上は特に何も。』

「ふーん、そっか。じゃあいいや。」

鳴くんの先程の反応や聞いてきたことに理解が出来なくて複雑な表情を浮かべていると、彼は私の頭をくしゃっと撫でてきた。

「何困った顔してんの？
もしかして、本当は一也に口説かれたりした？」

そう言うと私をからかうようなニヤニヤとした顔で見てきた。

『そ、そんなわけないでしょ！』

シャーッと猫が威嚇するかのような勢いで鳴くんに反論する。

「へぇ？どうかな？」

そんな私を見て更に頭をポンポンと撫でてきた。

鳴くんにペースを持っていかれてしまい何も言えないでいると、突然鳴くんに身体の向きを変えられ後ろからフワッと抱きしめてきた。

『め、めい……くん？』

不意打ちに取られた行動に私はドキッとしてしまった反面、なんだか暖かく感じ安心感を覚えた。

そのまま浸っていると、鳴くんから口を開いた。

「俺、負けないから。」

そう言った鳴くんの声色はとても落ち着いていて決意を感じるものだった。