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「向井、かえろか」
「はい!」
北さんと私。
男子バレーボールの主将とマネージャー。
周りはそのくらいの認知だろうけど、私は北さんが好きだ。
「寒くなりましたね」
「そうやなあ」
北さんは、私がバレー部に入部した半年前から帰る時に送ってくれる。
前に1度、「なんで送ってくれるんですか」と聞いたことがある。
その時北さんは、「危ないやろ」って言った。
そんなこと言うひと、高校生くらいになったらおらんし、冗談かなって思ってはははって笑ったら、「危なくないん?」と言われた。
きょとんとした、不思議そうな顔で。
イケメンめ、くそぅ。
その時から私は、北さんにぞっこんなのである。
「北さんは苦手な教科とかあるんですか?」
なさそうやな〜って思いながら聞く。
「ないな」
「ぽいですね……私は数学が意味わかりません」
「いっつも寝とるもんな」
「……なんで知っとるんですか!?」
もしかしたら北さんは超能力でも使えるのかもしれない。
好きな人に授業中寝とるって知られるの、少し恥ずかしいんだけど……。
「1年と話しとるときに聞いた」
「……その1年って誰ですか」
明日私が質問攻めにしてやろう。
まあ寝てた私が悪いんだけどね!!
「内緒や」
いっつも無愛想なんに、こんなときばっかり笑うからタチが悪い。
いたずらっ子のような顔で、こっちを見る。
好きだなあ。
すこし顔に熱が集まるの感じた。
「北さんは自分のスペックちゃんと知った方がいいと思います、」
「なんや、スペックって」
いつもまじめなんに、たまに悪ふざけするとことか、正論ぶちかますとことか、ちゃんとチームに愛があるとことか。
「内緒、です」
私の想いは言えない。
北さんには好きな人がおる。
3年生におる先輩の幼馴染の美人な先輩。
性格よくて美人って1年でも有名な先輩。
その人がきっと北さんの好きな人。
自分の話をあんまりせん北さんが唯一話すのがその人の話。
それだけの魅力がその先輩にはあるってことだ。
ちらりと横を見る。
気づかれないようにちろりと見るのが、マネージャーの私の特権だ。
少しだけ楽しそうに話す横顔を見て、胸が痛む。
「そしたらあいつが、」
ほら、またその人のはなし。
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作者名:やふ | 作成日時:2018年12月11日 16時