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No.1 ページ2

「向井、かえろか」

「はい!」


北さんと私。
男子バレーボールの主将とマネージャー。

周りはそのくらいの認知だろうけど、私は北さんが好きだ。

「寒くなりましたね」

「そうやなあ」



北さんは、私がバレー部に入部した半年前から帰る時に送ってくれる。


前に1度、「なんで送ってくれるんですか」と聞いたことがある。
その時北さんは、「危ないやろ」って言った。

そんなこと言うひと、高校生くらいになったらおらんし、冗談かなって思ってはははって笑ったら、「危なくないん?」と言われた。
きょとんとした、不思議そうな顔で。

イケメンめ、くそぅ。


その時から私は、北さんにぞっこんなのである。



「北さんは苦手な教科とかあるんですか?」

なさそうやな〜って思いながら聞く。

「ないな」

「ぽいですね……私は数学が意味わかりません」

「いっつも寝とるもんな」


「……なんで知っとるんですか!?」

もしかしたら北さんは超能力でも使えるのかもしれない。
好きな人に授業中寝とるって知られるの、少し恥ずかしいんだけど……。


「1年と話しとるときに聞いた」

「……その1年って誰ですか」


明日私が質問攻めにしてやろう。
まあ寝てた私が悪いんだけどね!!

「内緒や」


いっつも無愛想なんに、こんなときばっかり笑うからタチが悪い。
いたずらっ子のような顔で、こっちを見る。


好きだなあ。


すこし顔に熱が集まるの感じた。


「北さんは自分のスペックちゃんと知った方がいいと思います、」

「なんや、スペックって」



いつもまじめなんに、たまに悪ふざけするとことか、正論ぶちかますとことか、ちゃんとチームに愛があるとことか。


「内緒、です」




私の想いは言えない。


北さんには好きな人がおる。

3年生におる先輩の幼馴染の美人な先輩。
性格よくて美人って1年でも有名な先輩。



その人がきっと北さんの好きな人。

自分の話をあんまりせん北さんが唯一話すのがその人の話。
それだけの魅力がその先輩にはあるってことだ。


ちらりと横を見る。
気づかれないようにちろりと見るのが、マネージャーの私の特権だ。



少しだけ楽しそうに話す横顔を見て、胸が痛む。



「そしたらあいつが、」






ほら、またその人のはなし。

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作者名:やふ | 作成日時:2018年12月11日 16時

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