痛覚味覚ない系女子の御話 (ページ8)

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第六話ページ8

「あ、いや、Aさん笑ってるのに不安そうにしてる匂いがしているので」

なんでやねん

そんな不安になるようなこと、最近は何もないんだけど…

もしかして、この仕事不向きとか考えてたせい？

心の底では不安なのか…！？

「私は不安なんて感じてないですよ。

嗅覚がおかしくなるような原因はないんですけどね…」

なるべく嘘をついてる事がばれないようにしないと

患者を看る側の私が患者さんに心配かけてどうするの

私なんかより

患者さんの方が

何倍も、何千倍も不安なんだから

私が不安がってる余裕はないよ

…炭治郎さん、何も言ってくれない

「嘘の匂い、します？」

「…いや、しないです」

そう。嘘なんてついてない

最初から不安なんて感じてなかったの

きっと、炭治郎さんが勘違いしただけ

私は、みんなの心の怪我を治してあげなくちゃ

自分のことを見てる暇なんてないの

患者さんのことを考えたいのに

自分のことばかり考えてしまう自分が大嫌い

どうして師範はこんな私を見限らないでいてくれるんだろう

ねぇ、姉さん

どうして私なんかを医師にしたの