痛覚味覚ない系女子の御話 (ページ13)

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第十一話ページ13

「ん…ん…？」

まだ夜中なのに目が覚めてしまった

この強いにおいのせいか？

鬼か…？

いやでももっと人間らしいにおいだ

悲しさとか寂しさとかそういう負の感情が集まったにおい

縁側の方からだな

様子を見てこよう

においが濃くなってきた

やっぱり縁側から来てたんだ

…っ！誰かいる…？

「って、A！？」

「！？た、炭治郎さん！起こしてしまいましたか…すみません」

このにおいの元って…

__________「すごく嫌そうな音をさせてたから」

やっぱり、A…？

「あ、いや、俺はちょっと厠に…」

「ふふっ、なんですか？その顔、変な顔

それに、厠は反対です。嘘バレバレですよ？」

えっ、変な顔したかなぁ？

「私、炭治郎さんに聞きたいことがあるんです。

ご家族のこととか、禰豆子さんのこととか。私でよければ…ですけど」

そうか、まだ話してなかったなぁ

詳しい事情も知らないのに禰豆子のことを容認してくれてたのか

やっぱりAは優しいんだな

「俺の家族は、殺されたんだ、鬼に。

俺のうちは炭焼き屋で、その日は町に炭を売りに行っていたんだ、一人で。

そのとき、家族が鬼に襲われた。でも、禰豆子にはまだ脈があって____」

それから、鬼殺隊に入るまでのこと

鬼殺隊に入ってからのこと

禰豆子や残りの家族のこととか

たくさん話した

Aがあまりにも真剣に話を聞いてくれて

楽しくなってしまったんだと思う

もうずっと長いこと話してるのに

相槌を絶やすことなく話を聞いてくれた

それに、あの負の感情の禍々しいにおいも消えて

心が躍るような、とてもふわふわした匂いになってる

心の内を全部吐き出してしまいそうな

心地いい、安心できる匂いだ

「そこで禰豆子が…って、もう朝なのか！？」

気づけば、朝日が昇り始めていた

「まだ話したいこととか、聞きたいこととかあったのに…」

「じゃあ、明後日、というか明日の夜にまたお話ししませんか？

今日はしっかり寝ましょう。寝不足は体に良くありませんから、ね」

「そうだな、今日はちゃんと寝ることにするよ。じゃあ、また」

Aに手を振って自室に戻る

今日は聞き出せなかったけど

明日こそは、ちゃんと聞くぞ！！