兄様、この方は矢張り無理です ページ17
安吾消息の原因は二通りの可能性がある。
自ら望んで姿を消したか、誰かに連れ去られたか。
もし前者であれば、俺にはどうしようもない。安吾は親に反抗したがるティーンエイジャーではないのだ。その気になれば足跡のつかない金を数百万用意できるし、それだけあれば地球の裏の遊牧民族のキャンプ地まで逃げることもできる。
よってこの仮説は排除だ。
もう一つは、安吾が何者かによって強制的に移動させられている可能性。首領が推測する通り、敵組織が安吾の頭の中の情報を狙った、と云うのが最もありそうな顛末に思える。
そうなれば、安吾が密かに何か手懸かりを残していることを期待したくなる。
それで俺は手始めに、安吾の自宅を訪ねる事にした。
思えば安吾の私生活など、俺は殆ど知らない。俺達の距離感は常にそういうものだった。太宰も安吾も、自分の身の上話などしたことがない。
否、太宰の方は昨日も含め今俺の後ろを歩く太宰の双子の妹である彼女の話は聞いていた。
然し彼女がどんな異能を持つかは太宰からも知らされていない。
マフィア内の噂では、『彼女は武器を所有しない』、『一度もその手を血に染めていない』、『彼女の部下達からは異常に恐れられている』、等の噂がある。それが全て事実なのかは俺には判らないことだった。
「すみませんが、私達は今何方に向かわれているのでしょうか?」
織田「ああ...坂口安吾の自宅に。何か手懸かりがあると思い...」
「そうですか。何か手懸かりが見つかると善いですね。」
彼女はそれだけ云うとそれ以降一言も喋る事はなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「此処ですか?」
出張の多い安吾は宿泊亭を転々としていると世間話の中でふと聞いた覚えがあり、マフィアの息のかかった宿泊亭にいくつか電話で訊ね、三件目の電話で安吾の住処を見つけ出し、表通りから僅かに離れた、砂色の外壁を持つ十八階建ての宿泊亭に着くと今迄無言だった彼女が口を開いた。
織田「はい、そうです。今から部屋に向かおうかと。」
「そうですか。」
彼女はまた無言になり、暫くして俺は支配人から鍵を受け取ると彼女と共に安吾が借りていた部屋に向かった。
「...随分無機質な部屋ですね。」
彼女は安吾の部屋を見渡しそんな感想を云うと、小さな本棚に並べられた古い小説を一冊手に取ると、適当なページを開きそれをじっと見つめ始めた。
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作者名:迷ヰ猫 | 作成日時:2020年2月12日 23時