フョードルの妹に誘拐された重力使い (ページ33)

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参拾ページ33

太宰Side

フョードル「中原中也が、そう云ったのですか？」

私は水族館での事を森さん達には云わずフョードルにだけ伝えた。敦君や鏡花ちゃんにも口止めしてもらったから探偵社の皆にも知らされる事は無いだろう。乱歩さんはわからないが...

太宰「どうするの？このままじゃ中也に大事な妹を奪われるよ？」

フョードル「....ぼくだって、もっとAを外に出してあげたかったですよ。ですが、それがぼくには怖かったんです。」

太宰「怖い？」

フョードル「Aはまだ10にも満たない子です。例えぼくが付いていたとしても何が起こるかわかりません。それにAが極稀に居る鬼才ならば尚更です。Aのその頭脳を求め沢山の組織がAを狙います。そうなればぼくやゴーゴリ達だけでは対処できません。」

太宰「確かに乱歩さんも超えるその知識は何処の組織にとっても最大の武器となる。現に森さんが彼女をポートマフィアに引き込もうとしてるぐらいだからね。中也と云う存在が居るだけで彼女は喜んで協力するだろうからね。本当の兄妹の様な関係になったら尚更だ。」

フョードル「....ぼくは必ず中原中也からAを取り返します。彼を殺してでも....」

太宰「殺してでも、か....どうだろう。私と手を組まないかい？私は中也の元相棒だ。中也の事は良く知ってる。水族館で中也と会った今なら中也の事を見つけられる。絶対にね。」

フョードル「...その対価はなんですか。」

太宰「対価は彼女が必ず君の元に戻って来る事だ。」

フョードル「....ぼくは躯砦で貴方を裏切りました。その仕返しにと裏切りませんか？」

太宰「私がそんな事する訳無いだろ？私はただ今回の騒動が終わってほしいだけだ。」

フョードル「そうですね、ぼくもこの余興は好きではありません。良いでしょう、太宰君に協力します。」

太宰「交渉成立だね。」

中也、君には悪いが諦めてもらうよ。

中也にあの子は勿体無いのだから＿＿＿＿＿

中也Side

「イルカショー楽しかったね！しかもイルカに触れたし！」

中也「ダメ元で手を上げてみたら選ばれたからな。良い思い出になったろ？」

「うん！それにね、イルカショーのお姉さんに格好いいお兄ちゃんだねって云われたの。」

中也「そうなのか？」

「うん。それでね、中也お兄ちゃんが本当のお兄ちゃんなんだって思っちゃったんだ。此れって変かな？」

中也「...否、全然変じゃないぜ。」

俺にとっては最高の事だ。