また、一つ消えた。 ページ4
その日の夜、鶴丸は一期の部屋へ訪れた。
嫌な予感がした。唯それだけだった。
「君、変な事考えてないだろうな……？」
「変な事、とは」
「…言わずとも分かるだろう」
何かを察したのか一期は泣きそうな顔になる。やめてくれ、俺は君にそんな顔して欲しくない。ただ単に……幸せになって欲しくて。そうは思っても、一期の顔を見ると何も言えなかった。あぁ、こいつはやるつもりだ。…また、俺は仲間を失うのか。
「すみません、もうこれしか方法が無くて……。其れに、この侭だと貴方達を傷付けてしまう……其れだけは、嫌なんです。絶対に。…ですが……矢張り、こんな事はしたくない、ですね……」
よく見ると一期の目は綺麗な黄色、では無かった。少し濁っている。
そういう事か、一人納得する鶴丸。信じ難い事だが此れが現実か。鶴丸も泣きたくなった。
「……そうか。…はは、そんな顔せんでくれ。俺も、泣きたい……っ…せめて、向こうでは……幸せに、な」
顔を見るのも辛く、其れだけ言い残すと鶴丸は自室へ戻った。
「有難う、御座いました……っ…さ、よならですね…」
唯一人部屋に残された一期は静かに涙を流した。
翌朝。鶴丸達は一期の姿を見ることは無かった。
あぁ、彼奴は逝ってしまった。向こうではどうか幸せに。と願うばかりだった。
鳴狐によれば彼は限界を超えていたらしく、寧ろここ迄耐え抜いたのは凄い事だと。
短刀の弟達を目の前で折られてから、彼は笑顔しか見せなくなった。
どうか、どうか。彼等が本当の笑顔で居られますように。
残された一期の部屋には、鉄の残骸だけが残っていた。
鶴丸は其れを、大切に自室の押し入れへ仕舞い込んだ。
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燭台通吉光(プロフ) - 雪姫さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けると幸いです(・∀・´+)これからも精進していきますので宜しくお願いします〜 (2017年10月14日 17時) (
レス) id: 2191eacc30 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - 感動して涙が止まりません…こんな素晴らしい作品を作って下さり、本当にありがとうございます…(泣) (2017年10月10日 21時) (レス) id: a876b58627 (このIDを非表示/違反報告)
燭台通吉光(プロフ) - 小乱れさん» コメント有難う御座います。未だ未だ拙い文才ではありますがそう言って頂き嬉しいです。これからも精進致しますね、(*´ｰ`*) (2017年9月19日 16時) (レス) id: 2191eacc30 (このIDを非表示/違反報告)
小乱れ(プロフ) - 初コメです。とても、感動しました (2017年9月18日 16時) (レス) id: ec523025a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燭台通吉光 | 作成日時：2017年5月24日 1時
