【Fischer's】END ROLL―エンドロール―【ダーマ】 (ページ2)

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平凡なページ2

「お疲れ様でしたー！」
　ニッコリと笑って、職場の皆さんに挨拶をする。

　大学を卒業して、花屋で働くことになった。花屋ORIMOTO。織本優姫さんと織本颯羅君の姉弟が経営してる花屋。

　昔から花屋を目指してて、丁度店員を募集してたから、ここで働こうと思った。優姫さんは優しいし、颯羅君は同い年だし、この職場は私にあってる気がする。

「お疲れー！」
　颯羅君がニコニコしながら手を振ってくる。

　颯羅君は普段からあんまり仕事をしている様子はない。確か前に、“花屋の仕事はよく分かってないんだ”って言ってたなぁって。

「お疲れ様。明日も宜しくね」
　優姫さんが微笑みながら声を掛けてきた。

　優姫さんは、恋する乙女って感じの綺麗な女性。弟がイケメンなら、姉が美人なのも納得だよね……。

　なんて考えながら、私は優姫さんの言葉に“はい”と返事をした。

　帰る支度も済ませて、私は帰路につく。

　平凡な人間。平凡な日常。平凡な人生。

　私の人生は、きっと一生平凡なんだなぁ、って思う。

　でも、平凡で良いじゃない。当たり障りのない人生が、きっと一番幸せ。幸福の後には不幸が来て、不幸の後には幸福が来る。

　人生ってそういうものだから、私の人生は平凡で良いの。

「んー、YouTubeでも見ようかな」
　最近の趣味はYouTubeを見ること。好きなYouTuberさんはFischer'sさんとか水溜りボンドさんとか。

　YouTuberさんって本当に面白いよね。見てるとすぐ時間が経っちゃう。あーでも、そこまで熱狂的なファンではないかも？

「……颯羅君もYouTubeよく見てるなぁ」
　颯羅君はよく仕事中にYouTubeを見てる。優姫さんにバレないように。

　実際優姫さんは気付いてるみたいだけど、全然怒ってはいなかった。というかむしろ笑ってた？

「ふふ、面白い……」
　自分一人しか居ない部屋で、ぼそりと呟く。他の人から見たら、確実にイタい人だよね、この状況。

　……画面の中のYouTuberさんは、皆輝いている。きっと視聴者さんたちは、こういうところに惹かれているんだろうなぁ、って思った。

　でもまぁ、平凡な私には程遠い世界。

　画面の向こう側の、煌びやかな世界。

　私には、眺めてるだけで充分かなぁ……？

　平凡な世界の中で、映画の様なことなんて起こるわけない。

　そう思っていた。

　＿＿＿＿＿＿貴方と出会うまでは。