K ページ10
もう一年...この苦しみが続くのか
自分の情けなさに嫌気がさしていた。
そんな時に、彼女と出会った。
何度かお店に来てくれた事がある、Aに似た雰囲気をもっている女性
街で偶然会った事をきっかけに、二人で会うようになった。
最初は、ただの友人だった。
俺は、Aの事を話していたし、相談もしていた。
イタリアに会いに行った後の俺は、いつも落ち込んで、荒れていたと思う。
俺の前でAに近づき、誘いをかける男を怒っても、Aは「イタリア人の社交辞令よ」と、軽く笑って取り合わない。
俺は、こんな自分が嫌になっていた。
Aを好きでいる自分が嫌だった。
俺が苦しんでる時に、いつも黙ってそばにいてくれた彼女。
「私なら、あなたから離れない」
...彼女の言葉に、手を伸ばしてしまった。
それでも、Aを諦められない俺に彼女は、待つと言ってくれた。
彼女といると、自分を取り戻したような気持ちになる。
だんだんと彼女への比重が大きくなっていった。
Aが、SNSをやらない事を良いことに、二人の関係を匂わせるような画像もあげるようになっていた。
そんな時、店に真由美ちゃんが来たんだ。
真由美ちゃんは、俺を見据えて
真「新しい女、出来たのね」
ｶｲﾄ「...」
真「否定しないの？」
ｶｲﾄ「...」
真「Aと別れる気？」
ｶｲﾄ「...」
真「別れてからにしなさいよ！」
ｶｲﾄ「...」
真「どうしようもない男ね...。あなたにAは、勿体ないわ。あなたが言えないなら、私から言っとくから、心置きなく新しい人のところに行きなさいよ」
そう言って店を出ようとした真由美ちゃんを引き留めた
ｶｲﾄ「別れたくないんだ...」
真「は？何勝手な事言ってんのよ！」
ｶｲﾄ「わかってる...何度も何度も考えた...だけど、俺は、Aがいなくなるなんて、考えられない」
真「いなくなるようにしてんの、あんたでしょ」
ｶｲﾄ「...」
真「本来なら、私がとやかく言う筋合いじゃないわ。だけど、Aの事は黙ってらんないのよ。あの人がどれだけの思いでここまで来たのか、あなたが一番知ってるでしょ？Aを幸せに出来ないなら...それを邪魔するくらいなら消えてくれる？」
俺は、一番大事な事を忘れてたんだと気づいた
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作者名：yui | 作成日時：2017年12月2日 14時
