会いたい人は...５ (ページ7)

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バニョレージョでホテルをとった。

ツインを一部屋。

今のAから片時も目を離したくなかった。

どんなに拒否られようと、

今日だけでも、そばにいようと決めた。

あれから、二人とも一言も話していない。

Aは、俺に背を向けるようにベッドに横になっている。

Aのスマホは、OFFにされたまま。

誰からの介入も拒んでいるようだ。

【あなたにだけは、頼りたくない】

この言葉は、ショックだった。

あなたにだけは...って、俺だけ？

Aにとって自分は、誰よりも近い存在だと思っていただけに、ショックは大きい。

だけど、俺のショックなんて、今はどうでもいい。
そんなことよりAが心配だ。

日本語での会話は、よくわからなかったけど、
Aの雰囲気と最後の言葉で、別れを告げたのだと思った。

正直...話し合いもせずに、一方的に別れを告げたAに驚いている。

前に俺に言った言葉と逆のように感じたからだ。

激情に流され、怒りのあまり勢いで..という感じにも見えなかった。

あれほど、愛していた人

こんなに簡単に終わらせていいのか？

Aの真意がわからなかった。

Aが、黙ってる限りわからない。

俺は、Aを手に入れたい。

そのAが、カイトさんとの別れを選ぼうとしてる。

...でも、こんな状況...全然嬉しくない。

Aは、逃げるように別れを選んでいる気がする。

それでは、前に進めないって事は、経験上嫌というほどわかっているはずだ。

今はムリでも、きちんと話をしてほしい。
A自身のために...

ベッドに横になっていたAから、小さな寝息が聞こえてきた。

眠れた事に、少し安心する。

その時、俺のスマホが光った。