会いたい人は...５ (ページ31)

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タクシーの中、震えているAの手を握りしめた。

ホテルの部屋につくまで無言だったA
部屋について、口を開いた。

A【又、迷惑かけちゃって...ゴメンね】

G【もう、馴れたよ(苦笑)】

A【何か...疲れた】

G【俺も...】

A【本当にゴメンね。クォンさん、休んだ方がいいよ。私、もう行くから】

G【何で？どこに？】

A【真由美さんのところ】

G【ここに来るって言ったじゃん】

A【うん。だけど、やっぱり行くよ】

G【だから、何で？】

A【迷惑かけすぎて...申し訳なさすぎて、こっちがシンドイの。】

G【何だよ、それ】

A【クォンさんがいてくれて、本当に助かった。ありがとう。イタリア観光が、こんなになってゴメンね。これからイタリア楽しんでね(微笑)】

G【何でそんな言い方すんの？】

A【私、早めに日本に帰ろうと思うの。】

G【何で？】

A【正直いうと、日本に帰るの怖かったの。日本に帰ったら、カイトさんに別れを告げられそうと思ってたから...でもね...今の私には、イタリアにいる事がツラいの。イタリアに来なければ、こんな事にならなかったのかなって考えちゃって。】

A【逃亡癖は治らないみたい(苦笑)】

G【...】がっかりした。

結局、カイトさんなんだ。

Aの感情や行動の原因は、全てカイトさん。
泣くのも、悲しむのも、体を震わせて怒るのも、カイトさんが原因。

俺が何をしたってAは、いつまでも俺を見ることはない。
どんなに近づいたと思っても、次の瞬間には、線をひく。
気持ちを伝えても、抱き締めても、キスをしても、決して俺を見ようとしない。

俺は、いつまでも部外者のまま

もう、いいよ。
俺も疲れた。

G【好きにすれば】

A【え？】

G【そんなにカイトさんの事が頭から離れないなら、別れなければいいだろ？カッコつけんな！すがりつけよ！】

A【そんな事いってない】

G【もう、どうだっていいよ。早く行けば】

哀しい目をして俺を見ながら

A【...ゴメン。さようなら。】

部屋を出ていった。

G【本当に、出ていくんじゃねぇよ...】

俺の小さな声が届く事はなかった。