会いたい人は...５ (ページ26)

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Y ページ26

カイトさんが、私に会いに来る。

イタリアに来るのは、いつ以来だろう。
そんな事も思い出せないほどの期間、私に会いに来る事はなかった。

私が日本に会いに行く事でしか会えない関係だった。

それなのに、私から別れようと言った途端、こんなにも早く飛んでくるなんて...

どれだけ別れを望まれていたのか...

そう思うと、情けないし、惨めな思いでいっぱいだった。

どうせなら、最後まで冷酷に私を突き放したままでもよかった。

最後だけ、きちんと向き合おうとするなんて...ズルいよ。

もう、会いたくない。

顔も見たくない。

声も聞きたくない。

早く、忘れたい。

そう心の中で叫ぶ自分がいる。

でも...

まだ、会いたい。

顔がみたい。

声が聞きたい。

終わりにしたくない。

微かな声を打ち消す事が出来ない...

だからこそ、カイトさんには会いたくない。

だけど、クォンさんは、私達を話し合いさせようと考えてるかもしれない。

私のためだと思えば、私の意見は聞かない人だ。

クォンさんがシャワーから戻ってくる前に出ていこう。

...

途方に暮れていた。

ここ...バスが来ないと帰れない(泣)

まだ、朝陽がでたばかり...
バスがくるのは、２時間後。

今頃、クォンさんが気付いた頃だろうな。
クォンさん、怒ってるよね...絶対

怖くて、戻るに戻れない
考えても、良い考えは浮かばないし、

取り敢えず、凄い景色でも見ておこう。

クォンさんに見つかった。
思ったほどは怒られなかったけど、悪口が酷い

喧嘩にはならなかったけど...、
後ろから抱き締められた。

こういうのは困る。

耳元で声が聞こえるのも...
平気でいられる人いる？

平常心を取り戻すべく、ラピュタの話をしてみたけど、要所要所で顔をだすクォンさんの"自信過剰"な俺様発言

芸能人だからって、本当にそう思ってたとしたら、"人として"どうだろう。

クォンさんの、これからの人生が心配だよ。

話をしてたら、無意識にカイトさんの事を話していた私

あぁ...ここから帰れば現実が待っているのか

弱い私は、カイトさんから全力で逃げる事を選んだ。