会いたい人は...５ (ページ14)

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Y ページ14

バニョレージョで一泊する事になった。

一人で残りたいと言って、私がバスに乗らなかったから。

バス停から引き返す私に付き添うように、クォンさんもついてきた。

ツインを一部屋。

どんなに拒否したって、

クォンさんは、私を一人にはしてくれない。

ただ、ベッドに横になっていた。

何の気力もない。

悲しいのかさえもわからない。

今は、何も考えたくない...ただそれだけ。

ずっと前から、そんな予感があった。

カイトさんが私を避け始めた時から不安だったの。

他に好きな人ができたんじゃないかって...

だから、驚きはしなかった。

やっぱり...という気持ち。

予想してたけど...、

やっぱりって思ったけど...、

でも、実際、現実につきつけられると

"みじめ"だった。

イタリアでの研修を延長してからは、

苛立ちを隠さなくなっていたカイトさんに、
いつ別れを告げられるか怯えていた。

研修の延長は会社からの指示で、私の一存でどうにかなるものではなかった。

カイトさんには、事後報告という形になってしまったけど、カイトさんは、その事について何も言わなかった。

もしかしたら、この頃には、もう既に他に誰かがいたのかもしれない。

いつからかなんて考えても、何の意味もない。

こうなった事だけが現実

何も考えないように

何も感じないように

現実から逃げるように

目を閉じた

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私、眠ってた...

気がついたら、部屋の中は真っ暗だった。

クォンさんの姿を探すと、隣のベッドで寝ているようだった。

...夢じゃないんだよね...

いくら願っても変わらないのに、
夢であってほしいと願ってしまう

さっきまでの空っぽな気持ちに、とって変わったように、急に寂しさや悲しさが押し寄せてきた。

思い出すのは、優しかったカイトさんの事ばかり...

何故、こうなったの？

どうすれば、こんな事にならなかった？

イタリアなんかに来なければよかった...

涙が溢れて止まらない。

クォンさんに気付かれないように、布団の中で声をおしころして泣いた。