K ページ12
彼女との関係は、まだ終わってない。
話し合いを何度もしたが、別れられないと泣きつく彼女の姿が、俺の姿に重なる。
彼女の優しさにすがった俺。
一方的に別れを告げる事が出来ないでいる。
悪者になりきらない俺は、ズルい。
体の関係は、もたなくなった。
Aを失う...現実におこりうる状況になって、
どんなにすがられても、せまられても、
彼女の体に触れる事すら怖くなった。
何故、あんなにも簡単にAを裏切ってしまったのか...浅はかだった自分を悔やんでいる。
彼女と会っている時に、Aから電話が入った。
当然のように、俺は電話に出なかった。
出られる訳がない。
それを見た彼女が「彼女と話をさせて」と言った。
「それだけは出来ない。」
考えるより先に言葉がでていた。
今更のように思われるが、
[Aを傷つける]なんて、絶対嫌だと思った。
俺のせいで、Aが、少しでも傷つく事に耐えられない。
このまま別れる事になっても、Aの受ける傷が最小限で治まるなら...それでいいとさえ思った。
今更、こんな事に気づくなんて...
俺は、とんでもないバカ野郎だ。
彼女に、
「今も、これからも、あなたを愛する事はない。」
別れてほしいと、頭を下げた。
彼女は無言のまま、泣きながら出ていった。
俺を想ってくれた二人を、俺が傷つけた。
彼女を傷つけた償いは、出来ない。
俺が出来る事は、Aから逃げないで、真正面から向き合う事だと思う。
でも、今日は...
彼女を傷つけた今日は、
Aに電話をかけ直す気持ちにならなかった。
最近では、かけ直す事すらしなかった。
それが普通に感じるくらい
だから、軽く考えていた。
Aが、不安に思っている事など知らず...
明日、電話すればいい。
明日から、又始めればいい。
ここでも、俺は、Aに甘えていたんだな...
Aは、俺を許すと決めつけていたんだ。
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作者名：yui | 作成日時：2017年12月2日 14時
