会いたい人は...５ (ページ11)

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K ページ11

ｶｲﾄ「少しだけ時間くれないか」

真「私があげる義理はないけど」

ｶｲﾄ「頼む。ちゃんとするから、少しだけ時間がほしい。」

真「...」

ｶｲﾄ「ケジメつけるから...。」

真「...」

ｶｲﾄ「頼む」

真「...約束はしない。A次第よ。
Aが、知りたいと願ったら迷わず言う。」

ｶｲﾄ「...」

真「帰国するまでに答え出して。それが出来ないなら、今後Aに関わらないで。」

そう言って帰っていった。

返す言葉がなかった。

真由美ちゃんが言った言葉...

全てが胸に刺さった。

Aの幸せを一番に願っていたのは俺だった。

いつのまにか、Aの幸せを奪っているのが自分だった事に愕然とした。

Aと又向き合いたいと思うけど、一度変わってしまった関係は、そう簡単に戻るだろうか。

Aを失いたくない気持ちと、
一度芽生えてしまったAへの嫌悪。

この期に及んで、まだ迷っている自分がいる。

勝手なのは承知で、
それからしばらく、彼女と会うことをやめた。

自分自身でAの事、彼女の事を考えたかった。

彼女は、明るく、社交的で、美しい人。

文句のつけようがない魅力的な人だ。

彼女といると楽しかった。

彼女といても無理しないでいられた。

突然会うことをやめた俺に、
彼女は「絶対別れない」と言った。

「"イタリアの人"より私の方が、あなたを愛してる」と...

その言葉には頷けなかった。

Aより俺を愛してる人はいないと断言できてしまうから。

変わっていくAと会うのが、苦しかった。

どんな時でも俺を許すAの事が、腹立たしかった。

何をしててもAを忘れられない自分が、情けなかった。

全ての元になってるのは、
俺がAを好き過ぎる事

Aが、俺をどれだけ大切にしているかわかっていても、もっと...もっと...と望んでしまう。

Aは、俺が求めれば、必ず応えようとするだろう。

だけど、いつかそれを苦痛に感じる時が来たとしたら...

そんな事を考えるだけで、憂鬱になる俺は、
Aと一緒にいるべきではないんだろう。

Aといる限り、俺は、ずっと苦しいのかもしれない。

それでも、考えるのは、Aの事ばかりだった。

俺は、Aの事でしか悩めない。

彼女の事で、苦しむ自分はいない。

これが答えだと思う。

彼女にきちんと話そうと思う。