会いたい人は...４ (ページ8)

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決意2 ページ8

時間は、21時を回っていた。

課長は、帰宅してしまっているだろう。

早急に話を進めたい。

明日を待つつもりはなかった。

室長に電話をかけた。

室長は、帰宅するところだったが、
ストーカーの件で緊急にお話したいと伝えると、すぐにタクシーを回してくれた。

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室長室で、今日の事を話した。

警察に届けていない事を知ると、直ちに警察に連絡を入れてくれた。

行きつけの店の前に現れた事からも、既に家やホテルも知られているかもしれない。

この件が無かったとしても、既に退職願を課長に提出済みである事を話し、非常識ではあるが、今すぐ辞めさせてほしいとお願いした。

室長は、少し考えてから、
ストーカーの事は警察に任せて、状況に応じて休みをとる方法もあるとし、仕事を辞めるというのは、早急過ぎるとして、考え直すよう諭された。

私は、正直に、大切な人がいる事を告白し、その人が夫と同じように何かあったら、生きていけないと話した。

直ちに日本を離れるつもりでいた。

室長は、私が大切な人の前からも居なくなろうとしている事に驚きながらも、判断を迷っているようだった。

そして、しばらく考えてから、

室「日本を離れるとして、あてはあるのかい？」

A「いえ...全く...」

大きな溜め息と共に、呆れた表情で

室「度胸があるんだか、ないんだか...」

そう言われてみれば、そうかもしれない。
自分でも、少し笑ってしまった。

室「この状況で、笑う事が出来るんだ。どこに行っても大丈夫だな(苦笑)」

と言って、どこかに電話をかけ始めた。

しばらく話をした後、電話を切ってこちらを見た

室「イタリアに行く気あるか？」

A「イタリアですか？」

室「系列のホテルにコンシェルジュの研修の話があるんだが」

室長の優しさに堪えきれず、涙が溢れた

A「ありがとうございます...」

室「早急に、手配させよう。今日は、このままホテルに泊まりなさい」

部屋を後にする室長の後ろ姿に、深くお辞儀をして見送った。