会いたい人は...３ (ページ48)

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この日を境に、私の行く先々に彼の姿を見るようになった。

私は、そんな彼が怖くなり、朝のウォーキングも止めてしまった。

この時はまだ、自分の思い過ごしだったら...と思うと、ケイには言えずにいた。

妊娠により体調が優れないため、仕事に行けない日が続いた。

そんな時、家の外に人影を頻繁に目撃するようになり、家から出れなくなっていった。

徐々に身の回りで変な事が起こるようになった。

洗濯物が無くなったり、郵便物が開けられた形跡があったり...。

さすがに黙っていることは出来ず、ケイに相談した。

ケイは、すぐさま警察に相談し、見廻りを強化してもらうようにした。

それでも、ストーカー行為は、止むどころかエスカレートしていき、郵便受けに、毎日手紙が入れられるようになった。

これを受けて、警察から彼に接近禁止命令がだされたと知った。

一段落したと思ったけど、私の精神状態が不安定になってしまった。

ケイは、そんな私に
【日本で生活しよう】と言った。

日本のホテルからヘッドハンティングされていたのを受けたという。

ケイは、今のホテルに誇りを持っているのを知ってるだけに、そんな決断をさせてしまった自分が申し訳なかった。

日本の友達に住むところの相談もしていたらしく、ケイが契約のために日本に行く事になった。
その間、私はケイのご両親の家にお世話になっていた。

帰国したケイが、日本の様子を話してくれた。

嬉しそうに話すケイをみて、少し罪悪感が和らいだ。

[東京タワーに行こうね]

この時にした約束だった

翌朝、

仕事のため、ケイが出掛けていった。

玄関で見送る私に、何度も振り替えって

【行ってきます！】

と言ったケイ...

私の元に二度と戻ってくる事はなかった。