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「駄目だ」
Aが何か言ったわけではない。
ただ...わかってしまったんだ。
それだけは許さない。
この時には、もう他人事ではなかった。
俺達は、それからしばらく見つめあっていたが、又虚ろな目に戻り始めたのがわかった。
心を閉ざそうとしてる
俺は、Aを抱きよせ、キスをしていた。
ゆっくり唇を離し、Aの目を見た。
Aは、表情も崩さず、何も言わなかった。
ただ、俺をみている目は、ちゃんと生きていた。
その目を見ながら
「俺が、傍にいてやる」...そう言っていた。
一瞬のキスだったかもしれない。
でも、それが俺の人生を決めてしまった。
この一度のキスから、７年もの間、逃れる事ができないでいる。
この日、マンションに行かなければ...
この日、お前の目を見なければ...
この日、キスしなかったら...
俺は、これ程苦しい思いをしなくて良かったのかな
でも、もう手遅れか...。
今は、お前が離れてしまったら...と考える方が苦しい
お前が、俺から必死に一定の距離をとろうとしているのがわかる。
何年一緒に居てもAが変わることはない
俺じゃダメなのか...
いつからか、心を隠す事の方が簡単な自分がいる。
正直な気持ちなんて、お前が望むなら、いくらだって隠すよ
それなのに...Aが、変わっていく
俺じゃない男の存在で...
Aが、怒りを露にするところなんて初めて見た。
クォン君の真っ直ぐなところが、羨ましかった。
二人が急激に仲良くなっていく様子に、普通でいられない。
ケイさん以外に嫉妬するなんて、思ってもみなかった。
これ程、大切にAを想っていても、
俺は、Aに好きな人が出来たら、それを見ていなければならないのか
二人の映像をみたとき...
自分でも嫌になるほどの黒い感情に飲み込まれそうだった。
もう、やめよう
そう思ったんだ。
でも、真由美ちゃんからAが自宅待機だと聞いて...気がついたらマンションまで来てた。
やっぱり、辛い時一番に手を伸ばすのは、腕時計だったけど...
面倒な女を好きになったもんだ...(苦笑)
仕方ない。
やめられないのは俺だ
もう、こうなったら一生捧げてやるよ(苦笑)
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作者名：yui | 作成日時：2017年11月9日 17時
