会いたい人は...３ (ページ16)

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友人の話では、ホテルで刺されたという事だったが、なぜ刺されたのかまではわからなかった。

俺には、その知らせを聞いた時の記憶がない。
今でも、空港までどうやって行ったかさえ思い出せない。

俺は、アメリカへ飛んだ。

意味がわからなかった。

数日前、元気に帰っていったじゃないか
来月から、日本で仕事するんだよな

死ぬなんて...全然意味わかんねぇよ

ケイさんの家に急いだ。
悲しみに暮れる人達....本当だった...
本当に居なくなったんだ

Aの姿はなかった。

ケイさんが亡くなったショックで、お腹の子を流産してしまったという。
大量に出血して、A自身も危険な状態だったらしい。
体調は落ち着いてきたが、錯乱状態にあって、入院してるとの事だった。

沢山の友人や仕事の仲間達...本当に沢山の人達がケイさんの死を惜しんだ。

沢山の友人達に見送られ、
ケイさんの葬儀が終わった。

葬儀でも、Aの姿を見ることはなかった。

帰国してから、しばらくしてケイさんの母親から連絡があった。

Aが日本に帰る事になったと...

Aがケイさんの母親に連れられて帰国してきた時の事を忘れられない

車椅子に、虚ろな目をして座っていたA。

空港の騒々しい雰囲気が、Aの回りの空気だけは冷たく静かで...

まるで血の通っていない人形のようだった。

彼女は、実の母親と暮らすという。

カイトさんの母親は、
【Aは、アメリカに居たら死んでしまう】
【Aは大切な娘だから、生きてほしい】と言った...

そして、Aに生きる気力ができたら、渡してほしいと、日本で住むはずだったマンションの権利書とカイトさんの形見の腕時計を預かった。

そして、【Aをお願い】と俺に言った。

俺には、重すぎる。

正直そう思った。

こんな面倒な人、関わらない方がいい。

カイトさんには悪いけど、そんな風に思ってたんだ。

マンションの権利書は、カイトさんの母親にAの母親には秘密にしてと言われていた。

詳しくは聞いていないが、お金にルーズなところがあって、Aが苦労していたらしい。

いつ渡せるかわからない権利書を持ってる俺は、管理人のように、たまに空気の入れ替えをしにマンションに出入りしていた。

Aが帰国してから一ヶ月ほどした頃、マンションに行くと、ドアが開いていた。

不審者かもと思い、恐る恐る中に入ると、

窓を開け、サッシに寄りかかって座っているAがいた。