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それから、団蔵が震える人差し指で座った潮江先輩の背中に字を書く。何故か見ている私たちまで緊張してしまうけど…
潮江「……全然わからん」
団蔵「そんなぁ」
「潮江先輩本気でやってます?」
潮江「お前、こいつの字みたことないのか?」
「ないですけど…あ、ここに置いてあるミミズみたいな文字は全部団蔵ですよね?」
左門「間違いではないけど…」
左吉「田村先輩、A先輩って結構毒舌ですね…」
田村「無意識だからやっかいなんだこいつは」
確かにみんなの言う通り団蔵の字はとても綺麗とは言えないけれど十歳らしいといえばらしいし……
「十キロそろば、ん……値段は、…いく、ら?」
潮江「読めるのか!?」
「……そんな詰め寄らなくとも」
田村「これはすごいぞ……」
どうやら私は誰も読めなかった団蔵の文字を読解できたらしい
潮江「今からでも遅くない、会計委員会に入らないか…?」
「あ、入らないです」
団蔵「え〜、A先輩が入ってくれたらきっと毎日楽しいのに」
左吉「確かに先輩が入ってくださったら嬉しいけど、お前は先輩に甘えてふざけるだろ」
潮江先輩からの委員会勧誘を交わせば残念がってくれる後輩たち、団蔵、あざとすぎるぞ。
左門「それにしてもA先輩は背中に書かれた文字を当てるのもお上手でしたね!」
「ありがとう!…潮江先輩はもう少し腕を上げた方が良さそうですね」
潮江「生意気な!…向こう向け」
「私、当てますよ?」
私が思っていた以上に雑談に付き合ってくれる潮江先輩を少し調子に乗って煽ってみれば、存外それに乗っかってくださる
言われた通り先輩に背を向けて正座をすれば、物怪と遭遇をしてしまったが如く怯えた表情の三木ヱ門が目に入る
潮江「書くぞ」
そうして私の背中に触れる潮江先輩の指。
…なんだか後輩たちと比べるとしっかりしていて……
「……っ、ん」
潮江「おい、変な声を出すな!」
「だって、くすぐった……ひっ!あはは!」
背筋をツーッとなぞられた瞬間、くすぐったさに我慢できなくなり先輩の指から逃げる。なんだこれ、私も緊張していたのか?
潮江「まだ書き終わってないぞ」
「も、私の負けでいいですから!!」
団蔵「先輩…」
左吉「何故目を塞ぐんです?」
左門「なんでだろう…」
田村「なんか、ダメな気がする」
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八重(プロフ) - ゆずこしょうさん» ありがとうございます〜!ご期待に応えられるように頑張ります! (3月21日 22時) (レス) id: 6efa099dc1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずこしょう(プロフ) - こんな作品待ってました!これからも頑張って下さい! (3月21日 13時) (レス) @page32 id: e261693cf6 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - リンちゃんなう!さん» 嬉しいコメントありがとうございます!ぜひこれからもよろしくお願いします! (3月20日 22時) (レス) id: 6efa099dc1 (このIDを非表示/違反報告)
リンちゃんなう! - 夢主ちゃんの性格が好みです!楽しくて一気読みしました!続き楽しみにしてます^^ (3月20日 17時) (レス) @page22 id: 99c0a2ef87 (このIDを非表示/違反報告)
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