序幕 ページ2
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「いやぁ、良いお天気ですね」
尾浜「本当、春…進級って感じだな」
桜が咲き誇る庭を眺めて茶を飲む。忍者のたまごらしくない平凡な時間。
今日は新学期前日、忍者には休みはないけれどたまごにはある。それだけの違いだ。
私と肩を並べるのは学級委員長委員会の尾浜勘右衛門先輩
私が明日のくのたま教室の入学生の書類を事務の小松田さんに渡していたところに先程、ご実家から戻られたのだ。
今はその流れで2人して縁側に腰をかけて雑談しているところだった。
「相変わらずくノ一教室は編入生ゼロ、上級生になっても同級生ができません」
尾浜「だからせめて委員会には所属して俺たち忍たまの年が近いやつらと関わったらどうだといつも言ってたじゃないか」
「委員会は面倒ですもん…たまに学級委員長委員会の手伝いをするくらいがちょうど良いんです」
尾浜「そんなこと言ったら人手不足の委員会の委員長たちがなんて言うか……」
学級委員長委員会は私がくのたまの年長者という理由で度々行事毎に手伝いをしている唯一の委員会だけれど、鉢屋先輩がいるから所属するのは嫌だし、それ以外の委員会に入るのなんてもってのほかだと、頭の中でぼんやりと考えていたところ先輩が意味深なことを呟く。
尾浜「まあ今後はそうもいかなくなるがな」
「…今なんと?」
尾浜「さっきから様子を伺っていたが、どうやらまだ話を聞かされていないみたいだな?」
「全く話が読めないのですが?」
ニマニマとした表情で先輩は私の顔を覗き込んでくるが正直こんなんじゃ話の意図は読めない。
尾浜「学級委員長のよしみだ、特別に教えてやろう」
「は、はぁ…」
尾浜「お前は明日から忍たまだ」
「…はぁ?」
湯呑みを置き、空いた手で私を指差す彼が放った言葉は、聞いてもなお理解ができない。
私が忍たま…?何を言っているんだ、私はくのたまだ。
「…春休みが終わるのは嫌ですよね」
尾浜「本当なんだって!」
「……大体なんで忍たまよりも少人数であるくノ一教室からわざわざ私が……あ」
尾浜「思い当たる節があった?」
「今年の新入生は……あぁ」
思い出すのは先程小松田さんに渡した新入生の資料、人数を頭で数えれば答えが出た。
拝啓、おそらく春休み前に私に伝えたら登校してこなくなると思って黙っていたであろう親愛なる山本シナ先生。
くのたま長屋の部屋数不足ですね…?
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八重(プロフ) - ゆずこしょうさん» ありがとうございます〜!ご期待に応えられるように頑張ります! (3月21日 22時) (レス) id: 6efa099dc1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずこしょう(プロフ) - こんな作品待ってました!これからも頑張って下さい! (3月21日 13時) (レス) @page32 id: e261693cf6 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - リンちゃんなう!さん» 嬉しいコメントありがとうございます!ぜひこれからもよろしくお願いします! (3月20日 22時) (レス) id: 6efa099dc1 (このIDを非表示/違反報告)
リンちゃんなう! - 夢主ちゃんの性格が好みです!楽しくて一気読みしました!続き楽しみにしてます^^ (3月20日 17時) (レス) @page22 id: 99c0a2ef87 (このIDを非表示/違反報告)
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